1. ホーム
  2. 社会
  3. 大雪被害長引く不安、県内農畜産被害5億円超に拡大

大雪被害長引く不安、県内農畜産被害5億円超に拡大

社会 神奈川新聞  2014年02月22日 00:00

裏山の雪崩で被害を受けた自宅台所に立つ男性=相模原市緑区佐野川
裏山の雪崩で被害を受けた自宅台所に立つ男性=相模原市緑区佐野川

関東甲信地方が記録的な大雪に見舞われてから1週間が経過した。県内の市街地では日常の生活が戻ってきたが、一部の山間部では混乱が解消されないまま。住民は不安を募らせ、「被害が切実に受け止められていない」と行政の対応への不満の声も。県の21日現在の集計では、農業や畜産業などの被害は5億円超に拡大、時間の経過とともに被害の深刻さが浮かび上がっている。

山梨県上野原市に隣接する相模原市緑区佐野川に住む男性(70)の自宅を雪崩が襲ったのは15日午前3時40分ごろ。裏山から流れ落ちてきた雪の塊は台所の窓ガラスを突き破り、台所に続く居間などに達し、高さは最大1・7メートルに上った。

「もしあの時、居間でオリンピックを見てたら、生き埋めで死んでた」。恐怖と寒さに震えた。それでも「皆それぞれに困っているだろうから」と自力で除雪しようとした。だがあまりの重労働に、週が明けた17日、「雪崩で手が付けられない。孤立もしている」と市に助けを求めた。

市職員2人が訪問してきたのは翌18日夕。職員はひとしきり状況を見て回ったが、建物の安全確認やガス設備の点検など、生活を続けるのに必要な支援や情報提供はなかった。妻(61)は「何を聞いても『業者を呼んでください』『業者に聞いてください』。現場に来たのも遅く、被害を切実に受け止めてもらえていない気がした」と残念がる。自宅内の雪は、親戚や友人の助力で20日にようやく片付いた。

男性宅から300メートルほど山を登った集落に住む女性(64)も同じ思いをした。15日朝、母屋のすぐ近くにある離れにも行けないほどの積雪に驚いた。近隣と電話で連絡を取り合うと、みな家から出られず、屋根がつぶれた家もあり、集落を代表して市に除雪を要望した。だが返ってきたのは「自主防災組織でまず作業して」。

「幹線道路など優先順位があるのは分かる。せめて地域を回って被害状況を確認しに来てほしかった」と女性。「合併のせいだとは思いたくない」としつつも、「住民の危機感が市職員に伝わりにくくなっている」とこぼした。

市緊急対策課は「15日未明の大雪警報解除後、職員の非常配備のレベルを上げる選択肢もあった。被害状況の把握にも課題があった」と釈明。今後、市の対応を検証するという。

「まさか、雪でこんなことになるとは」。小田原市石橋で農業を営む男性(65)は、雪の重みでつぶれたビニールハウスを眺め、深いため息をついた。柑橘(かんきつ)類「湘南ゴールド」の栽培を始め、初の本格的な収穫を目前に控えた惨事。ハウス修繕は困難といい、「もうこの場所での栽培はできない」と肩を落とした。

標高約230メートルの高さに6棟のハウスが並ぶ。男性は2年ほど前、このハウスを利用し、ミカンの木に接ぎ木して湘南ゴールドの栽培を開始。今季は初めて2トンほどの本格的な収穫を待ち望んでいた。

しかし、14日から降り積もった雪の重みで金属製の骨組みが折れ曲がり、ハウスは大きくつぶれた。衝撃で折れた木々がつぶれたハウスの屋根を突き破り、無残な姿をさらす。「40~50センチ積もった雪が雨でさらに重くなっていたのか…」

ここ数日はつぶれたハウスに潜り込み、何とか無事な果実をもぐことができた。被害総額などは現時点で不明だが、この先の収入は見込めないという。

「このハウスを修理するのは無理。木もダメではないか。こんなはずではなかった」。男性はあきらめ顔で語った。

【神奈川新聞】


雪の重みでハウスがつぶれ、木で突き破られている=小田原市石橋
雪の重みでハウスがつぶれ、木で突き破られている=小田原市石橋

シェアする