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原油安受け県内中間に明暗

経済 神奈川新聞  2016年11月17日 10:55

原油価格の下落を受け、燃料費が減少したという神奈川中央交通。乗合バスなどの事業が営業増益だった=相模大野駅前
原油価格の下落を受け、燃料費が減少したという神奈川中央交通。乗合バスなどの事業が営業増益だった=相模大野駅前

 世界的な供給過剰による原油安を受け、県内企業の2016年9月中間決算では、燃料費低減の恩恵を受けた企業が少なくない一方、産油国経済の疲弊で事業環境の悪化を強いられたケースも顕在化した。産油国で構成する石油輸出国機構(OPEC)が9月末に8年ぶりとなる原油減産で合意。供給過剰を改める方向にかじを切り、今後、価格が上昇する可能性もある。メリットを享受した企業からも、下期での原油安による収益への寄与には慎重な見方も出ている。 

 恩恵を受けた代表格は、物流・運輸部門だ。主力の物流事業が好調で上期ベースで過去最高益を更新したのは丸全昭和運輸(横浜市中区)。運送用トラック燃料の1リットル当たりの仕入れ額は、前年同期より14円下がったといい、連結ベースで1億4千万円程度の利益が上乗せされたとみる。神奈川中央交通(平塚市)は、乗り合いバスなどの運送事業の売上高が横ばいだったが、燃料費のコストダウンで営業利益は前年同期比10・6%増を確保した。

 京浜急行電鉄(東京都港区)は事業そのものの伸長に加え動力、燃料費の減少を見込んで通期の交通事業の営業利益を16億円上方修正した。ただ、今後も燃料費が業績を押し上げ得るか慎重な見方も目立つ。神奈川中央交通は「下期は原油価格を含め変動要素が多い」と懐疑的で、通期の営業利益の見通しを据え置いた。丸全昭和運輸も「今後も原油価格が下がるとは考えておらず、下期で燃料費低減による収益への影響は想定していない」と話す。

■ ■ ■ 原油価格低迷が収益の足かせとなった企業もある。円高に加え原油などの資源安で、プラント建設大手である日揮(横浜市西区)、千代田化工建設(同)はともに減収、営業減益。千代田化工建設は石油関連などのプラントの完成工事高が前年同期比で4割減、受注高も2割減った。担当者は、OPECの協調減産の方針やドナルド・トランプ氏の次期米大統領就任など、世界経済への影響が不透明な要素が相次ぐとして「今後の影響はプラスもマイナスも読めない」。

 日揮は、米国の石油化学プラント工事の遅延による採算悪化を主因に、最終損益を170億円の赤字と見込むなど、通期予想を軒並み下方修正した。上期の受注高は通期予想値の4分の1程度だが、担当者は複数の受注案件が控える東南アジアを例に「人口増で、産油国のインドネシアですら供給が追いつかず、エネルギー需要は高まっている」と受注増に自信を示す。一方で「原油が国家収入の大半を占める中東では価格下落で疲弊している国があるのも事実」とも明かした。

 電子・電気機器の富士通ゼネラル(川崎市高津区)は、好調だった中東(アフリカを含む)での売上高が前年同期比4割減と失速した。「原油安による現地経済の悪化も需要面で影響した」と同社。ただ、他地域に比べ厳格な中東の省エネ規制に合わせ、高い環境性能を持つ商品を投入して利益を上げてきた自社技術こそ打開の鍵とし、「(中東市場でも)中長期的にはチャンスは十分ある」と今後を見据える。


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