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市大先端研究〈8〉インフルエンザ 新たな薬開発へ弾み

社会 神奈川新聞  2014年01月24日 00:00

RNAポリメラーゼの部分的な立体構造を示した分子表面。黄色と赤色の入り交じった部分が3つの「部品」の結合部位
RNAポリメラーゼの部分的な立体構造を示した分子表面。黄色と赤色の入り交じった部分が3つの「部品」の結合部位

朴三用教授の研究グループは、インフルエンザウイルスの複製(増殖)に中心的な役割を担い、三つの部品(サブユニット)が結合して構成されているタンパク質(RNAポリメラーゼ)の立体構造を解明した。

三つの部品がそろって初めて増殖機能を発揮することから、朴教授は「サブユニットの結合を阻害することによってウイルスの増殖を防ぐことができる」と指摘。阻害剤として結合部分に似た構造を持つ物質の特定を進めている。

インフルエンザウイルスは新型に変異し、タミフルやワクチンに耐性を持つようになることが知られている。2009年にメキシコで発生した新型インフルエンザは瞬く間に世界中に広がり、世界保健機関(WHO)による警報フェーズも最高の「6」に引き上げられるなど大流行になった。

12年に流行した新型インフルエンザは弱毒性であり、またタミフルが有効であることから、死亡率は高くなかった。しかし、朴教授は「いつこれが強毒型に変異を遂げるか。その脅威は想像に難くない」とみる。

最近では中国や東南アジア諸国で鳥インフルエンザの流行が確認されており、朴教授は「高病原性新型インフルエンザウイルスが産まれるのではないかと世界中で危惧されている」と説明。対策として、日本を含む世界の国々はタミフルの備蓄やプレパンデミックワクチン作製を行っている。

しかし、朴教授は「新型が出現した際、それらの有効性は全く不透明であり、違った形での対策が求められている」との認識を示す。今回突き止めたインフルエンザウイルスの立体構造は、ウイルスが変異してもほとんど変化しない。

朴教授は「この構造から設計される薬剤は、どのタイプのインフルエンザウイルスにも作用する画期的な抗ウイルス剤になる」と話している。 (構造創薬科学)

【神奈川新聞】


朴三用教授
朴三用教授

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