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神奈川新聞論説委員、2013年を振り返る(下)座談会 ▼地域・教育

社会 神奈川新聞  2013年12月30日 22:08

県内3政令指定都市のうち、ことしは相模原を除く横浜と川崎で市長選が行われた。川崎市では大接戦を制して福田紀彦氏(中央)が初当選を決めた=10月27日、JR武蔵新城駅前の福田氏の選挙事務所
県内3政令指定都市のうち、ことしは相模原を除く横浜と川崎で市長選が行われた。川崎市では大接戦を制して福田紀彦氏(中央)が初当選を決めた=10月27日、JR武蔵新城駅前の福田氏の選挙事務所

内外の混迷を乗り越えていくために何が求められるのか。社説を担当する論説委員会のメンバーがことしを振り返り、2014年を展望する。

■問われる首長の力量、政策でカラー出せ

-県内政令指定都市の横浜と川崎市で市長選が行われた。横浜では林文子氏が再選され、川崎では与野党相乗り候補を破って福田紀彦氏が初当選した。また黒岩祐治知事は来年、1期目仕上げの年の4年目を迎える。いずれの自治体も課題は山積している。東京都の新知事選出も注目課題だ。

F 川崎の福田氏は政党の支援を受けず、「役人支配」や「官僚政治」を批判して市長になった。どれだけ思い切った政策を進めていくかが注目だが、初の市議会での答弁は「役人そのもの」という印象でがっかりした。待機児童解消、中学校給食導入についても財源確保の道筋が見えず心配だ。

M 京浜臨海部で特区構想が進む中で羽田連絡道路の必要性が再浮上している。福田氏がどう手腕を発揮するのか注目したい。

D 横浜の林市長をめぐっては待機児童ゼロの発表に続き、国の「横浜方式を全国に」とのアピールの後押しがあったことが、有権者に強い印象を与えた。戦略勝ちだ。それにしても投票率が30%を切るというのはあまりにも低かった。与野党相乗りの影響だ。

G リニア中央新幹線の中間駅予定地が相模原市の橋本に決まった。経済効果への期待が高まっているが、今以上の超高齢社会を迎える中で、どれほど需要があるのか。同市が進めるまちづくり計画も需要に見合った内容にすべきだろう。

F 黒岩知事にとっては任期締めくくりの1年だが、2014年度予算の編成は重要だ。「黒岩カラー」を出せるかが問われる。

A 三浦市の米軍ヘリコプター不時着をめぐっての「逆に良かったのかもしれない」との知事の発言には違和感を覚えた。基地県の首長には常に厳しい視線が注がれていることを忘れないでほしい。

H 東京都は日本の中心。その上、県や県内3政令市にとっては9都県市首脳会議のメンバー同士でもある。猪瀬直樹氏の後任知事には首都圏全体に理解が深くスタンドプレーをせず、共同歩調を取れるような人物が望ましい。

F 日本の首都の代表を選ぶのに相乗りはあり得ない。各党はしっかりとした候補を立てて、政策上の選択肢を示すべきだ。

■人権守る教育徹底を、差別は許されない

-朝鮮学校への補助金打ち切りなど歴史認識や外交上の対立を背景とした教育問題が、自治体レベルで浮上した年でもある。近隣諸国に対するヘイトスピーチも急増し社会問題化した。

B 補助金打ち切りを招いた無償化除外など、国の差別的かつ排外的な政策は罪深い。同政策を後ろ盾にして一部の政治勢力が発言を強め、県も横浜も川崎市も右へならえをした。そうした動きとヘイトスピーチは同根だ。

C 「自虐史観反対」なる主張を背景とした教育現場への圧力は大問題だ。「負の歴史」を排除する動きを許してはならない。

D 安倍政権は教科書検定の基準を政府の都合のよいように変えようとしているようだ。自治体が政権の意向を先取りするような動きが続き、息苦しさを禁じ得ない。朝鮮学校をめぐっても、なぜそのような学校が日本にあるのかを若者に教える責務が私たちにはある。

B 学校の存在自体が植民地支配の責任を突き付けている。「負の歴史」を排除したい人たちには目障りなのだろう。補助金打ち切りは「声が反映された」とのおごりにつながり、ヘイトスピーチを助長しかねない。拉致問題とのからみで付言すれば、横田めぐみさんの父の滋さんも打ち切りは筋違いで人権侵害だと話している。

C ヘイトスピーチは社会の無関心も助長している面があろう。決して差別は許さないという姿勢を鮮明にしていきたい。

F 県は外国人学校への経常費補助を学費補助に切り替える方針を打ち出している。県議会には子どものことを第一に考えた前向きな議論を望みたい。

■地域社会の支え合い、在宅医療の充実を

-介護保険制度の見直しが進んでいるが、サービス低下への懸念も強まってきた。介護現場での事故や、事業者による不適切な運営実態も表面化している。持続可能な地域社会や福祉社会の実現に向けて、知恵を出し合う時だ。

G NPO法人「PWL」の問題など、介護をめぐる事故や不適切運営の背景には事業者の「粗製乱造」がある。受け皿を増やそうとするあまり、行政のチェックが甘い。利用者保護のために行政は指導体制を拡充してほしい。法的な監督権限の強化も不可欠だ。

H 介護軽度者のサービス移行については受け皿となる市町村の懸念が強い。段階的に移行して市町村格差があまりに広がるようならば、見直しも考えるべきだ。

D 団塊の世代が75歳以上となる「2025年問題」は深刻であり、もっと意識してもらいたい。在宅医療の充実が必要で、現場を担う人材育成が急務だ。

■図書館の役割を問う、生かせ「知の財産」

-県教育委員会は県立図書館と同川崎図書館について「閲覧・貸し出し機能の廃止」と「川崎図書館の廃館」をいったん提案したが撤回した。県立の図書館のあり方をめぐって模索が続いている。

C ビジョンなき先走りが問題を大きくした。県教委はきちんとした将来像を描く責務を負う。図書館のよりよいあり方は全国で模索されている。衆知を集めて「知の財産」を生かしてほしい。

M 財政難の克服が急がれる。再編やその後の運営に「民間力」を巻き込むなど、県の工夫に期待している。

L 利用者を受け身で待つ時代は終わった。調査や検索の機能をアピールし、利用方法を広めていくべきだ。情報があふれる時代だからこそ分析や調査のアドバイザーが必要だ。図書館をこうしたプロを養成する拠点としたい。

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