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神奈川新聞論説委員、2013年を振り返る(中)座談会 ▼社会・文化

社会 神奈川新聞  2013年12月29日 21:58

内外の混迷を乗り越えていくために何が求められるのか。社説を担当する論説委員会のメンバーがことしを振り返り、2014年を展望する。

■震災復興と原発問題、なし崩し許されぬ

-東日本大震災から来年で3年となる。東京電力福島第1原発では汚染水漏れが止まらず、国が対策の前面に出ることになった。一方、復興のスピードが上がらない中で、被災者は苦境に立たされ続けている。

B 五輪招致の場での安倍首相による「汚染水コントロール」発言には怒りを覚えた。「東京は安全だ」とのアピールも福島の切り捨て以外の何ものでもない。

C 「原発ゼロ」方針の見直しや再稼働容認の動きなど政府方針のすべてが、なし崩し的で国民軽視だ。安全神話を振りまき、事故を招いた事故前の状況に戻ってしまわないか心配だ。

O 震災の風化を懸念する声が強いのは宮城や岩手の津波被災地だ。復興事業が難航している地域が少なくないことを忘れまい。

-「原発ゼロ」政策の見直しを打ち出した安倍政権に対し、小泉純一郎元首相が「原発即時ゼロ」を迫っている。エネルギー政策は今後も重要な課題となろう。

N 見直される国のエネルギー政策では残念ながら「原発維持」が明確になってきた。福島の教訓を風化させないためにも再生可能エネルギーの普及を急ぎたい。

M 現状では発電量の大半を火力が担っている。再生エネへの転換を促進するためには買い取り制度などの仕組みの充実と生活様式転換の両面が求められる。

B 元首相の発言が注目されたのも汚染水問題により課題先送りの危うさが可視化されたからだ。「経済成長」の美名にだまされ、思考停止に陥ってはならない。

■環境保護と防災強化、一人一人の心構え

-国内外で台風や竜巻などの自然災害が相次いだ。温室効果ガスと異常気象の関係が指摘される中で、気候変動枠組み条約の第19回会議(COP19)が開かれた。関東大震災から90年の節目で、首都直下型の都心南部直下地震についての被害想定が公表されるなど、震災への備えも問われた。

O 関東大震災は教訓に満ちている。県内各地に被害や復興の苦労を刻んだ石碑がある。光を当てて地域防災や減災教育に役立てたい。個人が取り組むべき備えは家具の固定や高台への避難など、どんな地震であろうと基本的には変わらない。

A 都心南部直下地震では県内では最悪の場合約5400人が死亡するとの想定が示された。被害想定の数字にひるまず、自助を着実に行うきっかけとしたい。

N COP19では大きな進展がなかった。かつては優等生だった日本も原発事故以降は途上国などから後ろ向きとの批判を浴びている。この問題はエネルギー政策とセットで考えるべきだ。

O 来年3月には横浜で「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の総会がある。関連イベントも予定され、一人一人が何をすべきか考える場となるだろう。

■スポーツと文化振興、ベイは楽天見習え

-富士山が世界文化遺産に登録されたが鎌倉は不登録となった。鎌倉は今後、どのように盛り返していけばよいだろうか。

C 富士山の環境への関心が高まるのはよいことだ。本来はこういう権威付けがなくともきちんとしておくべきだったのだろうが。

L 鎌倉の場合、主導する行政に意識の希薄さがうかがえた。欧州などの世界遺産では中世の街並みを残すため、多少の生活の不自由さを受け入れている。そうした覚悟が感じられなかった。

H 登録されなくとも鎌倉の価値が失われたわけではない。行政には今後も引き続き貴重な文化や自然遺産を保全する取り組みを着実に進めてもらいたい。

-2020年五輪の東京開催が決まった。横浜DeNAベイスターズは6年ぶりに最下位を脱したものの5位どまり。来シーズンに向け課題は多い。

K ベイは観客動員も大幅に増え、経営努力が実った形だ。あとはチームの強化だが、誕生から9年で日本一になった楽天を少しは見習ってほしい。学ぶべき点は多い。

B 横浜高校を中心に地元出身の選手が増えたのはよい。桐光学園高の松井裕樹投手を外したのは残念だったが、競合覚悟で取りに行った姿勢は買える。地元を軸にした強化にこだわってほしい。

K 五輪は文部科学省、パラリンピックは厚生労働省という管轄の垣根を取り払うことが必要だ。恩恵が東京に偏る懸念も強い。復興のための人材や資材が不足するような事態は許されない。

B 国別メダル争いはもうやめよう。純粋にトップアスリートの競技を楽しみたい。過度に復興と結び付けるムードも避けたい。

F スポーツ界は明るい話題が多かった一方で不祥事もあった。全日本柔道連盟をめぐっては暴力やセクハラ、助成金不正受給が発覚した。プロ野球の統一球修正問題も当事者意識のなさを露呈した。東京五輪に向け柔道、野球は組織を挙げて反省してもらいたいものだ。

■ストーカーどう防ぐ、情報共有の徹底を

-三鷹市で高校3年の女子生徒が刺殺されたストーカー事件では警察の対応の不十分さが指摘された。逗子市のストーカー殺人をめぐっては市役所から被害者の情報が漏れた事実が浮上し、情報管理の問題が浮き彫りとなった。

A 三鷹の事件では学校所在地の警察署への通報が、生徒居住先の署へ取り次がれなかったことが問題だ。情報共有のルールを確立したい。自治体からの個人情報漏えいについては本人確認の厳格化が予防の近道であろう。

D そんなさなかに横浜市では派遣職員が住民基本台帳ネットワークを不正閲覧する不祥事があった。何よりもまず現場において、個人情報保護に対する心構えを徹底しなければならない。

G 被害者を保護する警察や行政は常に「人命に直結している」との認識で対応すべきだ。また被害者への支援も手厚く進めつつ、「加害者を更生させる」という仕組みの確立も急務だ。

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