1. ホーム
  2. 社会
  3. 三浦・ヘリ不時着問題 過去の事例にみる情報の壁、答えぬ米軍

三浦・ヘリ不時着問題 過去の事例にみる情報の壁、答えぬ米軍

社会 神奈川新聞  2013年12月22日 10:42

三浦市三崎の埋め立て地に不時着、横転した在日米軍ヘリコプターの事故。再発防止や事故原因の究明、公表を求める三浦市や県に米軍は回答を約束するが、過去の事例を振り返れば、額面通りに受け取れない実態も浮かび上がる。

■強弁

相模原市の相模川の中州に在日米空軍横田基地所属のヘリが不時着したのは、2008年6月11日のことだった。米軍から市に一報がもたらされたのは発生の25分後。駆け付けた市職員は説明にあっけに取られる。

「警告灯が点灯し、安全確認のために『予防着陸』したと言い、事故ではないと強調した。たまたま中州に下りられただけで、不時着も事故のうちではないか」

強弁に感じた事態を小さく収めたいという意図。周囲には釣り客がおり、市職員は「人命にかかわる事故につながる可能性もあった。市民に説明がつかない」との思いから現場で説明を迫ったが、納得のいく回答がないまま、点検を終えたヘリは飛び立っていった。

市は翌日、安全対策の徹底と情報提供を要請。返ってきたのは、基地広報担当による「安全整備の確認は日ごろから十分行っているが、これまで以上に注意深く安全整備の確認を行いたい」との口頭での説明のみだった。

「あくまで事故ではないと扱われ、米軍内で問題視されなかったのではないか」と当時の職員はいぶかる。問い合わせは以後、行われていない。

■無視

藤沢市の場合は事故原因の報告を再三求めたにもかかわらず、なしのつぶてだった。

05年7月30日、片瀬海岸の漁港建設地で起きた不時着事故を市が把握したのは、テレビニュースでだった。翌日、謝罪に訪れた厚木航空施設司令官に迫った。

市「情報を市民に伝えることが市の使命。情報開示を」

司令官「その旨、在日米軍司令部に伝える」

連絡はなかった。2週間後に再び市長名で求めたが音沙汰なし。9月に3度目の要請を行っているが、市によると「文書が残っていないので恐らく回答はなかったと思われる」。

担当者は「情報のやりとりが課題となったが、どこに求め、仕組みをどうつくればいいのか」とこぼす。市内に基地がないため専門の部署がなく、国際交流や平和推進イベントを手掛ける平和国際課が担当しているという実情もあり、課題は積み残されたままだ。

在日米陸軍相模総合補給廠(しょう)やキャンプ座間を抱える相模原市の職員は、三浦市について「基地のない自治体は米軍側や国との連絡パイプや情報収集のノウハウがない。国や県が間に入りしっかり支援にまわるべきだ」と指摘する。

■無力

今回の事故現場から約100メートルの一軒家に住むパート女性(40)は「偶然埋め立て地だったのか、狙って不時着したのか。地域住民としては理由を知りたい」と不安げに話す。

米軍は、不時着したヘリは横須賀基地を母港とする原子力空母ジョージ・ワシントンの艦載機で訓練飛行中だったとしているが、飛行経路についての説明はない。

11年2月9日、相模川沿いの公園に米軍ヘリが不時着した平塚市では、直後の市議会でルートについての質問が飛んだ。

「相模川上空を年間どの程度飛行しているのか」「本市に飛行日時やルートの連絡はあるか」

市は「米海軍では軍用機についての飛行日時や飛行ルートなど、運用上の情報については公表していないとのこと。相模川上空の飛行回数についても同様」と答弁せざるを得なかった。現在も状況は変わらず、市危機管理課は「平塚の上を飛んでいるのに情報が得られず、不安がある」と語る。

答えぬ米軍、背後に浮かぶ軍事機密の壁-。事故原因の公表を要請している三浦市も飛行経路の情報までは求めていない。

相模原市の職員は、かつて米軍に回答を求め続けなかったことに「事故のたびに『再発防止と安全整備の確認を…』という決まり文句で終わり、また事故が起きる。諦めの気持ちはないが、残念な思いはある」と無力感をにじませる。

米軍によると、厚木基地に配備されている今回の事故機と同型の9機は、安全が確認されたとして運用を続けているという。

【神奈川新聞】


シェアする