1. ホーム
  2. 社会
  3. 海自「たちかぜ」いじめ訴訟で証人尋問、隠蔽体質改善求める/神奈川

海自「たちかぜ」いじめ訴訟で証人尋問、隠蔽体質改善求める/神奈川

社会 神奈川新聞  2013年12月12日 00:16

海上自衛隊横須賀基地の護衛艦「たちかぜ」所属だった男性隊員の自殺はいじめが原因だったとして、遺族が国などに損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が11日、東京高裁(鈴木健太裁判長)であった。乗組員に実施したアンケートの存在を内部告発した現役の3等海佐(46)の証人尋問が行われ、文書隠しの実態を明らかにした。

アンケートは、2004年の男性隊員の自殺後、艦内の暴行の実態把握のために乗組員に対して行われた。一審で国側指定代理人を務めていた3佐は、遺族の提訴直後の06年4月、海上幕僚監部情報公開室の担当者から「(遺族が情報公開請求した)アンケートは破棄したことになっている」と明かされたと証言した。

アンケートは横須賀基地の担当者が用意した資料一式の中にあり、3佐自身が見つけ出したと説明。「訴訟の担当者は存在を知っていたはずだ」と主張した。

3佐が12年4月、同高裁に陳述書を提出したことで、アンケートの存在が明らかになった。海自は同6月に存在を認めたが、「組織的隠蔽はなかった」としていた。

遺族は1億3千万円の損害賠償のほか、文書を隠蔽された精神的苦痛として慰謝料2千万円を追加で請求している。

◆「国民にうそつけない」、隠蔽体質改善求め

訴えは無視され、欺かれ続けた。それでも諦められなかった。「国民にうそをついてほしくない」。この日、初めて公の場で証言した3等海佐は、現役幹部として告発するにいたった思いを明かした。

「自分がうそつきに仕立て上げられる恐怖もあった。でも、遺族は納得できないだろう」。アンケートが隠されていることを知った3佐は2008年、防衛省の公益通報窓口にアンケートの存在を告発。11年の一審横浜地裁の判決の当日には上司に直訴し、情報公開請求も行った。

しかし、上司は「いまさら言われても」と相手にせず、海自は通報や請求に対し、「アンケートは破棄」と隠蔽を続けた。

「国側は不利な証拠を隠している」。一審判決後、勇気を振り絞って遺族側の代理人に手紙でアンケートの存在を明かした。「自衛隊が国民に対してうそをついてほしくない」という信念からだった。

12年4月、実名で東京高裁に陳述書を提出。海自にようやくアンケートの存在を認めさせた。遺族の情報公開請求から7年、公益通報から4年がたっていた。

「秘密保全と国民の知る権利の間で苦悩しながらも、答えを見つけ出す自衛隊であってほしい」。自ら身を置く組織のあるべき姿を強調、改善を求めた。

証人尋問では、不適切な文書管理をしたとして海自が懲戒処分の手続きを進めていることも明かし、「公益通報を理由とした処分だ」と批判した。これに対し、海上幕僚監部広報室は「個人のプライバシーを侵害する恐れがあるため、回答は控える」としている。

閉廷後、3佐は報道陣に対し、こう漏らした。「違法行為を是正するのに、ここまでしなければいけないのか」

【】


シェアする