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松沢成文 参院議員
松沢成文 参院議員

横浜・みなとみらい21(MM21)地区が11月に事業着工30年を迎えた。かつて日産自動車本社の誘致などに奔走した中田宏前横浜市長(49)=現衆院議員、松沢成文前知事(55)=現参院議員=の目には、今のMM21地区がどのように映っているのか。同地区が目指すべき将来像や、電気自動車の普及で苦戦する日産への思いなどを聞いた。

◆松沢成文 参院議員「集客を前面に」

-MM21地区の発展には何が必要か。

「都市のアピール力だよね。それがあると世界中からお客さんが集まってくる。野球だけじゃなく、ラグビーやサッカーもできる多目的なドーム球場。映画館やレストランを併設させ、全体をアミューズメントにして、横浜駅から歩ける場所に造るのがいい」

-ドーム計画は過去にも頓挫しているが。

「あとはウオーターフロントだね。MMは水とのマッチングが最高。新山下の運河でベニスのような再開発をして、横浜駅からMMを通って水上交通でつなぐ。水陸両用車を使い、べイブリッジまで車で行って帰りは海から戻れば、横浜全体がテーマパークのようだ。古きよき横浜三塔があるが、ランドマークタワーのほかに2本、新時代のキングとジャックを戦略的に建てれば、東京とは違った魅力的な街になる」

-企業誘致よりも集客を前面に打ち出すべきか。

「僕ならそっちに力を入れるね。全世界的に注目されるイベントをやれるかどうか。シンガポールは公道でF1をやって夜にはカジノがある。MMでは電気自動車(EV)のカーレースをできないか。日産のお膝元でEVのF1ですよ」

-知事時代はEV普及を支援した。

「日産には悪いことをした。もう1期やっていれば、もう少し支援策を継続できた。申し訳ないから今、日産リーフに乗って宣伝している。参院議員でリーフに乗っているのは2人だけ。国会議員も意識改革ができていない」

-日産は厳しい立場だ。

「日産のEVに対するライバル意識から、トヨタ、ホンダは燃料電池車にいってしまい、EVの欠点をなくした車を造ると言っている。ただ日産も諦める必要はない。近場の買い物や駅まで送るのはEVが便利。農家などでは太陽光でEVに充電するビジネスモデルを作ればいい。リゾート地でEVレンタカーを置いて自然を守るなど、いろんなモデルができる」

-どんな支援が可能か。

「日産があり、リーフが苦戦しているんだから、横浜はバスもタクシーもEVにすれば、世界にアピールできる。排ガス車が入れない都市になれば世界から注目され、さらに産業も集まる」

-国際的なビジネスイベントなどのMICE(マイス)の面ではどうか。

「パシフィコ横浜の規模は極めて小さく、国際コンベンションを取るのはもう無理。パシフィコには県や横浜市も出資しているが、天下りポストで攻めの経営にならない。誘致で世界を回ってくるような活動力ある民間に任せた方がいい」

-企業誘致はどうする。

「僕の時代は不況のどん底で大規模な工場が県内から撤退した。神奈川は土地が高く、環境規制は厳しく、人件費も高く工場などはきつい。だから産業構造を変えようと研究開発施設を誘致した。アベノミクスで経済がよくなり投資を促す時期に、県と横浜市が連携して、もう一段、知恵のある産業誘致策をつくるべきだ」

◆中田宏 衆院議員「羽田国際化で優位に」

-MM21地区に日産自動車本社の誘致を成功させた。

「市長就任時、MMの本格利用は3割。MMをどうするかという意識が常にあった。日産が銀座からMMに移れば『フラッグシップ』(旗艦)になり、その後のセールスはしやすくなると思った。七面倒くさいセールストークは要らない。『あの日産が本社を移転するMMです』と言えば足りる。そのために企業立地促進条例をつくった。やはり、日産移転は大きかった。着眼はよかったと思う」

「当時、MMを『日本に残る最後の一等塩漬け地』と呼んでいた。近辺の土地の倍近い価格で売り出していた。そんな経済合理性のない商売で売れるはずないよね」

-状況をどう変えていこうとしたのか。

「どこかで割り切りが必要だった。実勢価格で売れば、造成費用に対して赤字になる。だから売らないという思考回路だった。役人根性で誰も責任を取らないということ。淡い期待を捨て、損を確定させた上で、実勢価格で売っていく。それが呼び水になって、ほかの企業も進出してくるようにする。そういう好循環を生み出そうとした」

-MMは企業集積だけでなく、首都圏有数の観光スポットにも育った。

「オフィスが余っている状況で、企業集積や就業人口増は難しい。そこで、観光スポットとしての可能性に重きを置く方針転換があったのは間違いない」

-MMの本格利用をさらに進める方策は。

「国際化した羽田空港や、東海道新幹線駅の新横浜から30分とかからず、ロケーションも抜群。だいぶ古漬けになってきたが、今後も十分セールスできるはずだ」

「特に、羽田空港の国際化は生かすべきだ。政府の成長戦略次第だが、外国資本が投資しようとするとき、東京である必要はない。羽田に近い横浜は極めて優位性が高い」

-MMにカジノはどうか。

「あった方がいいと思う。国際会議場、アミューズメント、ホテル、カジノ。こうした設備がそろっているのが、国際会議を開催する上での環境面での魅力だ。米国・ラスベガスはすべてそろっているが、日本はそうした都市づくりの戦略性を欠いている」

「MMも、セガのライブエンターテインメント施設が頓挫し、劇団四季の劇場もなくなった。仕掛けはつくったが、ライブエンターテインメントによる観光の話は消えてしまった」

-国際会議の開催地としての可能性は。

「外国の要人が羽田空港から入ってくれば、一般道を使わず高速道路だけでMMに来られる。警備上、こんなに楽なことはない」

「皇居や国会が近い。皇室も大臣もすぐに迎えられる。これは横浜にしかないメリット。本社が東京の企業を引っぺがして横浜に誘致するのが難しいように、東京に近いことで独自の発展が難しい悲哀はある。けれど逆に、東京を利用するメリットもある」

【神奈川新聞】


中田宏 衆院議員
中田宏 衆院議員

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