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秘密保護法案参院委強行採決:横須賀、厚木、基地の街に漂う不安/神奈川

社会 神奈川新聞  2013年12月05日 23:29

何が秘密であるかさえ知らされず、市民も処罰の対象とする特定秘密保護法案。在日米軍基地を抱える県内の街に漠とした不安が広がる。日常の暮らしのなかで米軍関連の情報に触れる機会があるためだ。安全が守られるためにも欠かせない情報の提供が今以上になされなくなる恐れもある。参院特別委員会で法案が強行採決された5日、懸念と憤りの声が上がった。

在日米海軍が司令部を置く横須賀。会社員の女性は、小学生の娘が米軍家族の同級生から「空母がもうすぐ出港する」という話を聞いて帰ってきたことが気になっている。

原子力空母の出入港情報は外務省を通じて市に報告されるが、女性はそれより前に知ることになった。「たまたま聞いた情報を第三者に話したら、どうなるのか」と表情を曇らせる。

米海軍横須賀基地には約5千人の日本人従業員が働く。高いレベルの機密情報が耳に入ることはないため、日本人男性の一人は影響は薄いと考えるが、「だが秘密の範囲が曖昧。秘密に思えないようなことでも、基地の外で口にしたら捕まるのか」との懸念が消えない。

さかのぼれば1955年には、米軍情報を不正に入手したとして、基地の出入りのクリーニング業者が県警に逮捕されている。顧客の米海軍下士官を飲食店で接待し、艦船の入港日を聞き出していたことが罪に問われた。日米安保条約に伴う刑事特別法が初めて適用された事例となった。

米海軍厚木基地の騒音被害が続く大和市では5日、市民団体などが大和駅前で法案への反対を訴えた。

第4次厚木爆音訴訟原告団の藤田栄治団長(79)は「米軍機や自衛隊機の騒音や安全性などの情報は基地周辺住民の生活に欠かせない。それが特定秘密の名の下に一層隠されていくことになる。今までは『そういう情報は出せない』だったが、これからは『法律で出せません』と合法化される」と案じる。

機密を扱う公務員に情報を求めることが共謀、教唆、扇動とみなされれば処罰される可能性があり、「市民運動が萎縮する恐れがある」と話した。

一方、基地の動静をウオッチし続ける市民団体「相模補給廠(しょう)監視団」の沢田政司代表(61)は「基地の街に住み続ける以上、その動きを知る権利が私たちにはある。公共の場所から情報を得る写真を撮り続ける。取り締まるというのなら、民主主義の否定だ」と語気を強める。

89年、相模原市中央区の在日米陸軍相模総合補給廠に新たな倉庫ができることが分かり、市に計画書類の開示を求めた。市は非開示の理由を「国から『米国の了解が得られない』と見解が示された」としたが、米国で翌年、関係資料があっさり公開された。後に国は問い合わせさえしていなかったことが分かった。

沢田さんは「米国にとっては何でもない情報だった。それでもこの国の役人は『愚かな国民が騒ぐかもしれない』と秘密扱いにしたのだろう」と振り返り、言った。「政治家や官僚たちが自分たちだけで情報を抱えこんでいいはずがない。本当の脅威は、強引に法の成立を推し進める権力者の根底にある『愚民思想』だ」

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