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【K-Person】門脇麦さん
演技は「生もの」

K-Person 神奈川新聞  2016年11月13日 11:08

門脇麦=2016年10月13日、KAAT
門脇麦=2016年10月13日、KAAT

門脇麦さん

 「麦のように真っすぐ育ってほしいからと、両親が名付けました」

 名前の麦は、本名だ。「小さい頃から珍しい名前だねと言われます。でも、それは快感だったかもしれない」。子どもの頃から、人と違うことに自分らしさを見いだしてきた。「みんなが好きなものを好きと言いたくない自分がいて、小さい頃からひねくれているところはありました」とほほ笑む。

 来月、KAAT神奈川芸術劇場(横浜市中区)で上演されるミュージカル「わたしは真悟」で、女優・高畑充希とともに、ダブル主演に抜擢(ばってき)された。原作は、楳図かずおのSF漫画。小学生の真鈴(まりん)(高畑)と、悟(門脇)の純真な恋が、ロボットが自我に目覚める姿とともに描かれ、フランスの振付家フィリップ・ドゥクフレが演出する。


 「悟が真鈴を好きという気持ちは、大人の恋愛とは違って、子どものピュアさの象徴。普遍的なことが描かれている作品だと感じました」と、原作の印象を語る。3月からボイストレーニングを受け、初のミュージカルに挑む。

 2014年の映画「愛の渦」で、ヨコハマ映画祭の最優秀新人賞を受賞。注目の若手女優として、躍進を続けている。映画祭で評価されることは、素直にうれしいが、「1年前に自分が演じた作品なので、今の自分をタイムリーに評価されているわけではない」と、冷静に受けとめている。演技は、「生もの」。過去にとらわれず、「今の自分をさらけ出す」ことに、常に全力を注いできた。

 父親からは、「新聞を読め、ニュースを見ろ」と言われて育った。作品でも、政治や戦争の話を扱うことがある。「邦画で、日本人として出演するのだから、知るべきことは知ってちゃんとしていたい」。役者とは、作者と観客をつなぐ“言葉の伝達者”。そう考えるからこそ、社会の動きにはできるだけ、目を配り、自分を通して出ていくせりふに魂を込めたい。

 目標は、「自分が素で言ったときの言葉と、せりふが対等であること」。演じる技だけでなく、同時に、人としての成長を、真っすぐに見つめる。

お気に入り

 以前は、作品に取り組むと、家族にも友人にも会わず、お酒も一滴も飲まない生活を送ってきた。「楽しくすると自分が壊れそうで怖かったので、わざと缶詰め状態にしていました」。最近は、「お酒を飲む余裕も出てきました」と笑顔。純生マッコリがお気に入りで、新大久保に買いだめに行くことも。「仕事が早く終わったとき、一杯飲みに行く時間は大切ですね」

かどわき・むぎ
女優。1992年生まれ。東京都出身。
テレビドラマ「美咲ナンバーワン!!」(2011)で女優デビュー。映画「愛の渦」(14)ほかで、第36回ヨコハマ映画祭の最優秀新人賞を受賞。NHK連続テレビ小説「まれ」(15)のみのり役などで注目を集める。「アゲイン 28年目の甲子園」「合葬」(15)、「太陽」「オオカミ少女と黒王子」(16)など、近年、多くの映画出演を重ねている。
ミュージカル「わたしは真悟」は、東京など5都市で上演。神奈川公演は、KAAT神奈川芸術劇場で、12月2、3日。問い合わせは、チケットかながわ電話(0570)015415。

記者の一言
 映画「愛の渦」を見て、衝撃を受けた。演技をするとは、身も心も作品にささげることだと、突き付けられた。演技に取り組む前は、「一歩よろめけば、泣きだす寸前でした」と門脇さん。ただ、「現場に入れば、監督も、一緒に闘う共演者もいる。どの作品もそうだけれど、台本をもらって舞台に立つまでが一番そわそわします」。 

 門脇さんは、役者にとって大切なのは、「感度」と言う。「演技をしていて、ピピッと来るアンテナが大事。相手が何かを出してきたときに、それをキャッチする力が常々必要だと思う。血がかたまっている状態ではなくて、常にめぐりがいい状態にしたいです」。「感度」を磨くためには、自然を体感し、好きな本をむさぼり読むという。自分を磨くヒントをもらった気がした。


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