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「AEQUITAS」(エキタス)が集会
〈時代の正体〉「貧困バッシング許せない」 再配分の劣化が生む貧困

時代の正体 神奈川新聞  2016年11月11日 21:23

「貧困バッシングを考える」と銘打って開催された院内集会=2016年11月11日、参議院議員会館
「貧困バッシングを考える」と銘打って開催された院内集会=2016年11月11日、参議院議員会館

【時代の正体取材班=田崎 基】最低賃金の引き上げや貧困と経済格差の解決を求めている団体「AEQUITAS」(エキタス)が11日夜、「貧困バッシングを考える」と題して識者を招いた集会を東京・千代田区の参議院議員会館で開いた。ネット上で巻き起こる「貧困」に対する非難や、日本の高い貧困率について危機感を共有してもらう狙い。エキタスは12月4日にも新宿で「上げろ最低賃金デモ」と銘打った集会とデモを企画している。

 「相対的貧困の考え方と現状」をテーマに、東大社会科学研究所教授の大沢真理さんが登壇。公表数値を分析し、日本の貧困を詳細に解説した。

 相対的貧困率とは、自由に使えるお金が多い人から順に並べ、ほぼ真ん中となる人の所得(2012年は244万円)の半分に満たない所得の人の総数が全体に占める割合で、日本は12年に16・1%(6人に1人)と過去最悪となった。


「相対的貧困の考え方と現状」をテーマに、日本の貧困を詳細に解説した東大社会科学研究所教授の大沢真理さん=2016年11月11日、参議院議員会館
「相対的貧困の考え方と現状」をテーマに、日本の貧困を詳細に解説した東大社会科学研究所教授の大沢真理さん=2016年11月11日、参議院議員会館

 大沢さんは多様なデータを示した上で、「『個人の努力が足りない』という話ではないことは明らかだ。政府による分配の劣化がこうした状況を生んでいる」と強調。「特に安倍政権以降は際立っている」と説明した。

 エキタスのメンバーで大学3年の栗原耕平さん(21)は、働いても人並みの生活ができない労働者が増加し、生活保護利用者や、自ら貧困を訴える人を「特権者」とみる構図が、貧困バッシングの背景にあると指摘した。8月には、NHKのニュースに登場した神奈川県内の女子高生が経済的な壁に直面していると報道されたことについて、ネットでさまざまな理由を付けて批判された。


「バッシングは許せない」と話すエキタスメンバーの栗原耕平さん=2016年11月11日、参議院議員会館
「バッシングは許せない」と話すエキタスメンバーの栗原耕平さん=2016年11月11日、参議院議員会館

 栗原さんは「バッシングは許せない。社会状況がこうしたことを生み出している。変えなければいけない」と訴えた。

 このほか、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人の稲葉剛さんが、住宅と貧困には密接な関係があることを解説。生活困窮者支援に取り組むNPO法人代表理事の藤田孝典さんは相談内容を紹介した上で「一進一退かもしれないが、声を上げ続けることで変わっていくことがある」と、行動を呼び掛けた。


最低賃金の引き上げや貧困と経済格差の解決を求めている「AEQUITAS」(エキタス)が「貧困バッシングを考える」と題して開催した集会。およそ100人が参加し、登壇した識者の発言に耳を傾けた=2016年11月11日、参議院議員会館
最低賃金の引き上げや貧困と経済格差の解決を求めている「AEQUITAS」(エキタス)が「貧困バッシングを考える」と題して開催した集会。およそ100人が参加し、登壇した識者の発言に耳を傾けた=2016年11月11日、参議院議員会館

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