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再会誓いツアー終了
「君住む街へ」小田和正(沖縄編)

カルチャー 神奈川新聞  2016年11月10日 09:44

 小田和正(69)のツアー「君住む街へ」が10月30日に幕を下ろした。4月末の静岡から地元・横浜や福島などを巡って、最後の48公演目に訪れたのは歌詞で大切にしている「風」を感じられる沖縄・宜野湾海浜公園屋外劇場。潮の香りが鼻をくすぐる場所でオフコース時代の「さよなら」、ソロの最新曲「風は止んだ」など約3時間で31曲を歌い上げた。これが最後かもと臨んだツアーだったが、「みんなが聴きたいなと思うような曲が書けたら遊びに来たいと思います」と、“再会”を誓った。


約3500人のファンの真ん中に立ち歌う小田和正(アリオラジャパン提供)
約3500人のファンの真ん中に立ち歌う小田和正(アリオラジャパン提供)

 夕日が闇と混ざり合う。空が見事なグラデーションを生み出す中、〈風は〉と歌い始める「wonderful life」で幕が開いた。

 大阪では木枯らし1号の一報もあったばかりだったが、沖縄は夜でもまだ25度の暖かさ。小田は「きょうはどんな衣装がいいか楽屋でもめまして。(スタッフに)厚着した方がいいんじゃないかと言われたけれど、僕は半ズボンでやりたくて」とTシャツにハーフパンツ姿で登場。客席の真ん中にあるミニステージへ、階段を三段跳びして駆け上がった。

 客席後方の芝生部分も開放し、約3500人が熱い視線を送る。小田は熱気でいっぱいの客席の中にも入り、歌を届けた。「君」と小田が左手の人さし指を空高く上げると、ファンもスッと手を上げ、柔らかな空気が広がった。

 最も近い観客は1メートルぐらいの至近距離になったミニステージでは、ギターを爪弾く様子、キーボードの鍵盤をはじく強弱までも手に取るように感じられる。


 聖光学院(横浜市中区)で学んだ中高時代は野球部に所属し、外野を守っていた。近くに“風”を感じていたという小田は、その表現を今も大切にする。

 〈同じ風に吹かれて 同じ時を生きてるんだ〉と歌う「たしかなこと」では、同時代を生きる同志であることを伝える。「ラブ・ストーリーは突然に」では、〈やわらかく 君をつつむ あの風になる〉と愛を歌う。

 アップテンポな「恋は大騒ぎ」では巨大なバルーンが客席を行き交う予定だったが、いたずらな突風が10個以上投入されたバルーンをかなたへと吹き飛ばしていった。思わぬ出来事に小田も、肩をすくめた。


ツアー最後の地、沖縄で歌う小田和正(アリオラジャパン提供)
ツアー最後の地、沖縄で歌う小田和正(アリオラジャパン提供)

 ツアーには毎回、新しい曲を引っさげることを流儀としてきた。しかし70、71歳になってもアルバムを作って、全国を回ることができるのか。少し休むと、次に腰を上げるのに時間がかかる。そうした懸念から間を空けないようにと、4月に発売したベスト盤「あの日 あの時」を携えて、すぐに日本列島24カ所を巡ってきた。

 当初は「これが最後のツアーになるかも」と覚悟をしていた。しかし、4月の初日に“君住む街”で出迎えたファンの顔を見て早速、「禁句だなと思っていたけれど、『また』と言ってしまった」。

 ツアーを終えると、「次のオリジナルアルバム作りに取りかかりたいと思っている」。動員した37万人の声が小田の力になっている。

 沖縄の夜の最後を締めくくったのは、〈その時またここから 歩き出せばいいから〉と記したオフコースの「NEXTのテーマ~僕等がいた~」。

 春から夏、夏から秋へと変化した風。またその風が変わり、再び会える日まで。ラストで打ち上がった花火を見つめた小田は「ありがとう」とマイクなしでファンに感謝していた。


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