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【逗子市長選】連載(下)・財政対策 将来の備えどう確保

選挙 神奈川新聞  2018年12月15日 10:43

逗子市は厳しい財政事情から、事業の見直しを進めている=同市役所
逗子市は厳しい財政事情から、事業の見直しを進めている=同市役所

 人口減と高齢化の波は、逗子市にも着実に押し寄せ、大企業のない市の財政をも直撃している。

 歳入のおよそ50%を占める市税は減少傾向が続く。2017年度は約95億円で、ピークだった08年度の約106億円から約11億円減った。そのうち個人市民税は約5億円減だった。

 市は事務事業の見直しや外部委託などで経常経費を抑え、財政調整基金(財調)を取り崩して事業費を確保するなど、予算編成に腐心してきた。

 だが不景気が、さらに追い打ちをかけた。16年度決算で、国からの交付金が当初見込みより大幅に減額することが判明。次年度への繰越金も減り、財調の積み立てに回せなくなった。

 18年度当初予算編成で、約7億円の財源不足が見込まれる結果に。市は人件費削減などとともに約160の事業を見直し、不足分を賄った。

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 「教育や子育ての分野まで、(予算が)削られるのは残念」。高校2年の長女、小学4年の長男、小学1年の次男を育てる母親(40)はため息をつく。

 長男は普通学級の授業についていけなくなり、保健室で過ごす時間が増えた。心配した母親は特別支援学級に通わせることにした。学習支援員が対象児童一人一人に目を配るクラスに加わり、長男は毎日楽しそうに登校するようになった。

 適正配置の在り方を模索していた市は緊急財政対策の一環で、支援員を全体で9人減らした。支援員1人が児童1人を見守る体制だったが、削減によって複数の児童を見守るケースも出ているという。

 長男の学校でも複数の支援員がいなくなった。長男の様子に今のところ、変化はない。ただ、母親の不安は募る。「一人一人に合った教育を期待して支援級に入れた。人員削減で支援員一人一人の負担が増えれば、指導に細やかさが欠けてしまうのでは」


逗子市長選 2候補者の政策(届け出順)
逗子市長選 2候補者の政策(届け出順)

 17年度決算は人件費削減などの効果に加え、国からの交付金も回復し、8億円の黒字化を達成した。財調の18年度末の残高も9億円まで回復する見込みだ。加えて、市財政課は「緊急財政対策で、財調に大きく依存していた財政構造を、その年の歳入で歳出を賄う構造に転換できた」と強調する。

 身の丈に合った予算編成を維持するため、市は今年10月、教育や福祉分野を含む116事業を縮小するなど、19年度以降の事業方針を打ち出した。同課は「近隣他市より手厚い従来のサービス水準を維持すれば、また前の財政規律に戻ってしまう」と説明。「財政を安定させた上で見極め、事業の復活や新設を検討したい」とする。

 45年度の市の人口は国の推計で、15年度に比べて約1万2千人減の約4万5千人と見込まれる。高齢化率は微増を続けている。さらに公共施設の老朽化も確実に進む。

 7カ月の長男をおぶった母親(40)は注文を付ける。「子どもからお年寄りまで多くの声を聞き、必要なものにお金をかけてほしい。子どもたちに、良い町が残せるように」


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