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731部隊、シンガポールにも 旧軍の細菌戦巡り横浜で証言集会

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神奈川新聞  2004年06月06日公開  

シンガポールでの細菌戦の実相について語る林少彬さん。会場は約200人の参加者でいっぱいに=8日、横浜市中区の市技能文化会館
シンガポールでの細菌戦の実相について語る林少彬さん。会場は約200人の参加者でいっぱいに=8日、横浜市中区の市技能文化会館

 戦時下の満州(中国東北部)ハルビンで細菌兵器開発のため人体実験を行った旧日本軍731部隊(関東軍防疫給水部本部)が、日本占領下のシンガポールでも活動していた実態が、横浜で開かれた集会で明らかになった。気候面でペスト菌を培養しやすく、日中戦争の主戦場に近かったなどの理由からだという。

 発表したのは、シンガポール在住で日本にも留学経験があり、戦時中の資料収集や研究を続ける林(リム)少彬(シャオビン)さん(61)。祖父が終戦後の1945年9月5日、日本の憲兵に殺害された被害者でもある。

 シンガポールにあったのは731部隊の支隊の「岡9420部隊」。林さんによると、40年末~41年に設けられた。その理由は、(1)熱帯気候がペスト菌を媒介するノミの繁殖に適していた(2)連合国が蔣介石を支援するためビルマに設けた輸送路(援蔣ルート)に近く、遮断を巡る戦いに備えた-とされる。

 林さんは研究を踏まえ「岡部隊はビルマ戦に備え新設されたのではないか。実験設備は充実しており、人体実験をする環境も整っていた」と指摘した。

 一方、戦時中に岡部隊で働いたことがあるジェフリー・タンさん(92)の証言ビデオも上映された。「何の仕事かは知らされなかったが、後に破傷風の研究だと気づいた」と振り返り▽初日に破傷風の予防注射を受けた▽実験室はとても清潔だった▽豚の胃を洗浄したり、動物に注射したりした▽器具はよく洗浄した-などの経験を語った。

 集会には731部隊の解明を続ける松村高夫慶大名誉教授も参加し「42年2月のシンガポール陥落と同時にハルビンから軍医が派遣されており、細菌戦を中国全土で行う準備だったと考えられる」と述べた。岡部隊の研究成果は戦後、米国に流れたという。

 集会は横浜市中区の市技能文化会館で8日に開催。アジアの戦争被害について現地調査を重ねる市民団体「アジア・フォーラム横浜」が真珠湾攻撃(41年12月8日)に合わせ毎年開催し、25回目。戦時中のマレー半島での日本軍について研究する高嶋伸欣琉球大名誉教授も講演した。


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