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沖縄考
時代の正体〈658〉辺野古阻止「諦めない」 前名護市長・稲嶺進さん

時代の正体 神奈川新聞  2018年12月11日 11:22

稲嶺進さん
稲嶺進さん

【時代の正体取材班=田中 大樹】小雨ぱらつく平日の夜。年末を控えた横浜駅の喧噪(けんそう)から徒歩5分、講演会場の壇上に立った沖縄県名護市の前市長、稲嶺進さん(73)の表情は硬かった。

 「ハイサイ、グスーヨー、チューウガナビラ(こんばんは、皆さん、ご機嫌いかがですか)」

 沖縄の香り漂う第一声を発してもなお、笑顔はない。

 9月の県知事選では、辺野古新基地建設阻止を掲げる玉城デニー氏が、政府・与党が全面支援する候補に圧勝した。安倍政権はしかし、一顧だにしない。この日、政府が今月中旬にも土砂投入に着手する方針を固めたと報じられていた。

 晴れぬ面持ちは怒りに打ち震えているようにも、この国を深く憂いているようにも映る。

 自己紹介を終えて一呼吸。稲嶺さんは静かに、そしてゆっくりと語り始めた。

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 「沖縄では365日掛ける何十年も米軍による事件事故が起き、県民の人権が全く顧みられない、あるいは蹂躙(じゅうりん)される状況が続いています」

 基地あるが故の苦悩に触れ、問題の核心へと一気に切り込んだ。

 「米軍基地からの大きな負担や脅威は米国だけがつくり出しているわけではありません。日本政府が黙認し、あるいは基地を沖縄に集中させる政策をとり続けてきたからです」

 11月、玉城氏が知事就任後初めて訪米し、新基地建設反対の民意を伝え、対話による解決を呼び掛けた。しかし、米側が強調したのは「辺野古が唯一の解決策」だった。新基地建設の根拠とされてきた「地理的優位性」や「抑止力」がことごとく論破されてもなお、米国までもが日本政府の常套句(じょうとうく)を言い放つ。理由は明確だ。

 「日本が全額負担するからです」

 沖縄県は、新基地の運用までに13年を要すると見込む。もはや米軍普天間飛行場の早期の危険性除去は望めない。辺野古移設の破綻は明らかだ。県は同時に、新たに発覚したマヨネーズ状の軟弱地盤などの影響で費用が最大2兆5500億円に上り、当初計画の10倍以上に膨らむと試算する。

 「日本国民が納めた税金が充てられる。私たちには想像もつかないほどの大きな額だが、政府はちっとも苦にならない。米国の要求には全て『はい、そうですか。分かりました』と」

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 新基地建設反対を訴えた

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