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地域力 担う人々
“遊休”受水槽を活用 災害備え手押しポンプを設置 相模原の団地

社会 神奈川新聞  2018年12月10日 11:09

受水槽に取り付けたポンプを操作し、水の出る状況を確かめる相武台グリーンパーク管理組合の荒井理事長(左から3人目)ら=相模原市南区
受水槽に取り付けたポンプを操作し、水の出る状況を確かめる相武台グリーンパーク管理組合の荒井理事長(左から3人目)ら=相模原市南区

 相模原市南区の大規模団地、相武台グリーンパークが、災害時の暮らしを守る「防災水槽」を独自に確保した。老朽化に伴い、“遊休資産”となっていた地下の受水槽に着目。ホースで水をためて手押しのポンプを取り付け、停電の際もトイレなどに使える生活用水を分け合えるようにした。入居から約40年。人口減と高齢化が加速する団地で、住民の知恵と工夫が新たな共助を生み出した。

 ポンプを設置したのは、団地敷地内の5カ所に埋設された受水槽の一つ(高さ4メートル、長さ15メートル、幅7メートル)で約400トン貯水できる。管理センターによると、もともとは各世帯が使う水道水をためていたが、大規模修繕で直接給水方式に変更された2014年以降は使われなくなり、空の状態になっていた。

 日々の利便性は高まったが、「災害時の水の確保には不安が残る」と管理組合の荒井善友理事長(55)。対策として新たに井戸を掘る提案もあり住民アンケートを行ったが、十分な賛同が得られなかった。

 そこで、合計で3千トン近く貯水できる受水槽に着目した。「経年劣化による耐久性の心配もあった」(総務委員長の加藤晃男さん)だけに、「段階的に水を増やし、水漏れの状況などを確かめながら進める」ことに。

 メーカーに安全性などを確認した上で今年5月の総会で了承を得て、10月に水を張った。微量の漏水が10カ所ほどで確認されたものの、いずれもボルトを締め直すことで解消できたという。

 11月に設置したポンプは「いつ、誰が操作することになるか分からないので、手軽なものに」(管理委員長の佐藤邦男さん)とこだわり、ステンレス製でさびに強く、電気や燃料が不要な手押しタイプを選んだ。「とても軽く、子どもでも扱いやすい」(副理事長の平田秀昭さん)構造が特徴だ。

 その設置費用と貯水に要した水道代は合わせて43万円ほど。試算した井戸の整備費より大幅にコストを抑えることができた。受水槽は既に水道管に接続されていないため、樹木などに水をまく散水栓からホースを延ばし、2週間かけて貯水した。

 「実現に至るまでは賛否両論あったが、受水槽が地下にあったために劣化が少なく、防災水槽に活用できた。同じような設備がある他の団地でも応用できるのではないか」と荒井理事長は取り組みの意義を語る。

 グリーンパークは5階建てを中心に約40棟あり、約1600世帯が入居。かつて5600人を超えていた住民は現在、約4千人にとどまる。高齢化も進む中、東日本大震災以降は住民同士の共助を重視。災害時も住民が団地にとどまれるようにと、敷地内の共用スペースを一時避難場所に位置付けるなどの対策に取り組んできた。

 防災水槽が加わったことで、「安心できる住環境が整った」と荒井理事長は強調する。災害時は飲用を除く生活用水として、1世帯につき1日80リットルが必要と試算。その1週間分を賄えるようにするため、さらに2カ所の受水槽にポンプを取り付け、「その時」に備える。


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