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地域力 担う人々
買い物送迎に助っ人 秦野・栃窪に暮らす高齢者を支援 福祉事業者が事業継続へ

話題 神奈川新聞  2018年12月10日 10:35

 外出が困難な高齢者らの買い物を支援するため、秦野市の栃窪自治会で試みられていたモデル事業が、試行期間後も継続される。自治会と市の事業に、地元の社会福祉法人が新たに参画。市の公用車が担った住民のスーパーなどへの行き帰りは法人の車両が受け持ち、運転は従来通り住民が引き受ける。地域でほぼ完結することになった取り組みに、市は「交通手段のない人を支えるモデルケースになる」と期待している。

 中井町との境に位置し、渋沢丘陵に広がる栃窪は、高齢化率(9月末現在)が50・6%と市内平均の29・0%に比べて突出、小田急小田原線渋沢駅まで約2キロの距離があるもののバス路線がない地区だ。買い物の足がなく、不便さを感じていた栃窪の住民をサポートしようと試行されたのが、モデル事業「とちくぼ買い物クラブ」だった。

 市の7人乗りワゴン車を使って毎週1回、地元の自治会館などと最寄りのスーパーなどの間を往復。9月5日~11月28日の試行期間中、自治会の予想を上回る約90人が利用した。


社会福祉法人所有のワゴン車に乗り込み、買い物に向かう住民=秦野市栃窪
社会福祉法人所有のワゴン車に乗り込み、買い物に向かう住民=秦野市栃窪

 ただ、あくまでも地域の力だけで事業を遂行できるかを図るモデル事業。公用車を貸し続けることは他の用途もある関係で難しく、事業を継続するためには新たな担い手が加わることが不可欠だったという。

 こうした中、手を挙げたのが、同市渋沢で障害者支援施設を運営する社会福祉法人「浄泉会(じょうせんかい)」。2016年の社会福祉法の一部改正で、地域での公益的な取り組みが法人の責務として定められ、浄泉会としても地域で果たす役割を模索していたところだった。

 公用車の代わりとして、法人所有のワゴン車(定員8人)を活用。自動車保険や燃料などの費用も浄泉会が負担する。毎週水曜の午前10時に、前日までに連絡のあった住民を乗せて栃窪を出発、スーパーなどを回る事業内容は変わらない。

 顔触れも新たになった事業初日の今月5日は、住民7人が利用。来年2月に運転免許の返納を考えているという87歳の主婦は「移動手段がなくなるので感謝している」と笑顔を浮かべる。

 浄泉会の西田精吾理事長(78)は「車1台で限界もあるが、地元の皆さんと協力して継続していきたい」と抱負を語った。

 自治会長の土田正幸さん(71)は浄泉会の事業参画に「渡りに船。買い物支援を切れ目なく続けていきたかったので幸運だった」と語る一方、「今後は駅や病院へ行く高齢者の足の確保が課題」と次を見据える。市高齢介護課は「免許を返納したり、足腰が弱ったりした人を支えるため、市内の他地域の実態も把握して課題に取り組みたい」としている。


買い物支援に関する協定書を締結した土田さん(左から2人目)、高橋昌和市長(同3人目)、西田理事長(同4人目)=秦野市役所
買い物支援に関する協定書を締結した土田さん(左から2人目)、高橋昌和市長(同3人目)、西田理事長(同4人目)=秦野市役所

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