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入管難民法改正
「この制度で日本は選ばれない」外国人の支援者、批判

社会 神奈川新聞  2018年12月07日 19:32

ペルー出身の男性(手前中央)から相談を受ける神奈川シティユニオンの村山執行委員長(左から2人目)ら=川崎市幸区
ペルー出身の男性(手前中央)から相談を受ける神奈川シティユニオンの村山執行委員長(左から2人目)ら=川崎市幸区

 人手不足を背景に、新たな外国人労働者の受け入れ拡大を目指す入管難民法改正案の成立をめぐり7日、参議院で攻防が繰り広げられた。技能実習生をはじめ、実質的に労働者として存在している外国人が置かれた厳しい状況を改善する議論は見られず、与党側の採決を急ぐ姿勢だけが際立った。県内で外国人労働者を支援してきた関係者は「もっと時間をかけて議論を重ねるべき」と怒りの声を上げた。

 「今回の改正では、韓国や台湾に行く方がましだろう。(5年間の最大受け入れ人数とされる)35万人も来ないのでは」。県内の外国人支援活動に広く関わる三木恵美子弁護士は、制度的に日本は労働者に「選ばれない」と予想する。たとえば同じ人手不足に悩む韓国では多文化共生に国を挙げ取り組み、雇用する人たちの管理も国家が担う。台湾も雇用条件を改善している。

 一方、日本では技能実習制度と同様に、民間任せのシステムが続くことになる。家族と同伴できない条件もある。「そうなると捨て身の人しか来ない。長く一緒に住んでもらえるような人が結局は優秀だし、安定しているし、隣人になれるのに」。望むような人材の獲得は難しいとみる。

 国会での審議を通して「移民」という言葉へのアレルギーの強さに驚いたという。「こんなに『移民』が嫌いな人がいるのに、日本は彼らに助けてもらわねばならない。助けが必要だと国民を説得するには、もう少し時間が必要だろう。そうでないと長い目で見て摩擦が生じることになる」と警鐘を鳴らした。

 誰でも入れる労働組合「神奈川シティユニオン」(川崎市幸区)の村山敏執行委員長は絶句した。「今国会で終わるのではなく、あと一国会、二国会と話す方がいい結果が出る。なぜこんなに急ぐのか」

 日系人労働者にしても、技能実習生にしても、これまで外国人労働者の受け入れには企業側が責任を負った。言葉や文化の差、労働条件をめぐる問題も、国は対応しなかった。そして新制度でも、受け入れ企業が委託する登録支援機関が、労働者を支援するという枠組みは変わらない。

 「少子高齢化で外国人労働者を受け入れるしかない。人間を受け入れる以上、日本語や社会で暮らすための教育や、労働法を守り雇用条件が守られているかというチェックは、国がしっかり対応すべきだ」と力を込める。

 国の方針の転換点であるにもかかわらず、性急さばかりが目に付いたという。受け入れ拡大は、人手不足に悩む経済界が強く求めていた。「来年の参院選を見据えてのことだろうが、残念だ」


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