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箱根山深部、15年の活発化前に微小地震 活動予測の指標に

社会 神奈川新聞  2018年12月03日 10:46

箱根山
箱根山

 箱根山(箱根町)で観測史上初の噴火に至った2015年の火山活動で、活動活発化の1カ月前に地下深くで微小な地震が多発していたことが、県温泉地学研究所の解析で分かった。さらに深部からのマグマの供給に伴う現象とみられ、00年以降の他の火山活動でも同様の先行地震が起きていたことを確認。今後の活動予測の重要な指標になるとみてこの地震を即時に検知するシステムを開発し、日々の監視に活用している。 

 温地研の行竹洋平主任研究員(地震学)によると、火山活動の活発化に先駆けて多発していたのは、通常の地震よりゆっくりとした揺れが特徴の「深部低周波地震」。地表付近の浅い場所で連続発生する「群発地震」は震度が記録されるケースがあるのに対し、規模が大きくてもマグニチュード(M)3ほどの深部低周波地震では揺れを感じることはないという。


箱根山で噴火に至るイメージ
箱根山で噴火に至るイメージ

 風の影響や車の移動などに伴う日常的な微動と区別しにくく、詳しい発生実態は明らかになっていなかったが、行竹主任研究員は特徴的な地震波形を基にした検出手法を考案。気象庁による観測では410回とされていた2000~16年の箱根山での回数は、実際はその46倍に当たる1万8900回だったことを突き止めた。

 このうち15年の火山活動時の発生状況を調べたところ、3月下旬に深部低周波地震が急増していたことが判明。ほぼ同時に山体の膨張を示す地殻変動が始まっていた。群発地震が活発化したのは4月下旬からで、6月下旬に観測史上初の水蒸気噴火に至った。

 また、15年に次いで大規模だった01年の火山活動をはじめ、この間に数年おきに繰り返し起きた火山活動の際も、おおむね2週間~2カ月前に深部低周波地震が増えたケースがみられたという。こうした現象の要因について、行竹主任研究員は「地下深くから上昇するマグマが関係している」との見解を示す。

 箱根山の地下約10キロ付近には、火山活動の源となるマグマが蓄積された「マグマだまり」がある。「深部低周波地震の発生域は、それよりも深い地下約25キロ付近。さらに深い所からマグマだまりにマグマが供給される際に地震が増加している可能性が高い」という。その結果、群発地震や蒸気の噴出といった地表付近の火山活動が活発になり、状況によっては噴火に至る段階的な経過になるとみている。

 行竹主任研究員は「深部低周波地震は全国のほとんどの活火山の地下で起きているが、これまで観測できていたのは氷山の一角にすぎない。地殻変動のデータなどと合わせて発生状況を見極めれば、活動予測の大きな手掛かりになる」と強調。地震計が捉えたデータから深部低周波地震を区別してカウントする仕組みを既に導入しており、なお不明な部分が多い地下構造の解明作業も進めながら、観測を強化していく方針だ。

◆2015年の箱根山火山活動の経過
3月下旬 深部低周波地震の増加(今回の研究成果)山体膨張を示す地殻変動
4月下旬 群発地震の開始
5月上旬 大涌谷で蒸気噴出の活発化
5月6日 噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に引き上げ
6月29日 観測史上初の水蒸気噴火
6月30日 噴火警戒レベル3(入山規制)に引き上げ
9月11日 噴火警戒レベル2に引き下げ
11月20日 噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)に引き下げ


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