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小さな新人王・東克樹(5)反省、研究、そして修正

ベイスターズ 神奈川新聞  2018年12月03日 02:00

(1)「プロは無理」言われ続けた
(2)「投手の他に何が面白いんや」
(3)独り立ち「名電に行くわ」
(4)偉大な先輩から「財産」

修正能力


 プロ1年目で11勝をマークした東克樹が、ラミレス監督から絶賛されたのは試合中の修正能力の高さだ。愛知・愛工大名電高監督の倉野光生(60)は「高校の時からその力はあった」と振り返る。

 2012年秋。新チームでエースになった東は県大会3回戦で0-1の惜敗。選抜出場が絶望的になると、倉野は1台のタブレット端末を手渡した。「自分のフォームを繰り返し撮影して徹底的に研究しなさい」

 指導歴30年余で初の試みだったといい、「試合中に『肘が下がっている』『体の開きが早い』とアドバイスしても、フォームを知らないと自分で直せない」とその意図を説く。

 直球は140キロに届かず、変化球もスライダーとカーブくらい。ただ、制球力は抜群だった。ドラフト2位で中日入りした1年先輩の浜田達郎をひたむきに追い続けた小柄な左腕を、倉野は2年秋の時点で「(高校レベルの)投手として完成されてきた」と見ており、指揮官が一流と考える「教えることがない選手」の領域に達してほしいとの願いを込めた。

  ■ ■

 大器の片鱗(りん)を見せたのは翌夏の愛知大会のことだ。倉野は1年前に浜田が肩を酷使した反省を踏まえ、6~7月の練習試合の投球回数を抑え、大会中も極力連投をさせなかった。準決勝までの5試合で自責点はわずか1。満を持して、炎天下の決勝のマウンドに送り出した。

 相手は大型右腕を擁し、前年秋に敗れた愛知黎明。「0点で抑えないと勝てない」。そう分析した指揮官の期待に東も応える。得点圏に走者を置いた二、五回は、直球をコーナーに決めて後続を三振に取った。1点差に迫られた八回も、一打同点のピンチで再び直球勝負を挑み三球三振。要所を締めて107球で1失点完投し、チームを2年連続甲子園へ導いた。

 東本人は「高校時代はどこにでもいるような投手だった」と振り返るが、修正能力には自信があった。「コーチの言うことをあまり聞かないタイプだった。自分のやりたいようにやらせてもらったから、試合でもいろんな引き出しが生まれたんだと思う」

  ■ ■

 自身初の甲子園はあっけない幕切れだった。聖光学院(福島)との初戦。東は五回に三重殺を完成させるなど躍動していたが、終盤七回につかまった。

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