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【K-Person】篠崎史紀さん
未来への課題が大切 「かなコン」で夢を手助け

K-Person 神奈川新聞  2018年12月02日 10:43

篠崎史紀さん
篠崎史紀さん

篠崎史紀さん

 「技巧より感性」をモットーにした、かながわ音楽コンクールのバイオリン部門で、審査員長を務める。

 「テクニックよりも音楽性を重視する点に引かれて、審査員を引き受けた」

 順位や勝ち負けにとらわれがちなコンクールには、否定的な意見を持つ。

 「育ってきた環境も、親も、先生も違うのに、他人と比べること自体に意味がない。コンクールに参加する本当の意味は、目標に向けて自分がやったことを自己評価できることにある」と明言する。

 期日までに何ができるのか。自分への課題をクリアすることに意義がある。未来の自分はどうありたいか、コンクールはそのためのきっかけにすぎない。


第34回かながわ音楽コンクール
第34回かながわ音楽コンクール

 自身は小学5年生で、コンクールに初参加。「友達に会いに行く感覚で楽しかった。同年齢の子が何をしているのか、知ることができる。友達を増やしに行く場所だったし、コミュニケーションを取る場だった」とほほ笑む。

 「『夢を見るから人生は輝く』とはモーツァルトの言葉。コンクールも夢を与える場所であるべきだ。かなコンが掲げているメッセージには夢があるね」

 上位入賞者は神奈川フィルハーモニー管弦楽団と共演できるのも、同コンクールの大きな魅力だ=写真は前回の様子。

 「プロオケと共演できるのは、すごくいいこと。若い人が新しいステップを踏むための手助けをできる。そういうことができるのが、ちゃんとしたコンクールだと思う」

 オーケストラと共演するには、作曲家の意図を研究しなければならない。

 「作曲家の残したものは世界遺産。この音はこの楽器で、と考えたものを、オケと弾くことで追体験できる。音楽家になるということは、作曲家に近づくこと。作曲家が何を言いたいのかが、ちゃんと分かることが一番大事」

 それを踏まえた上で、現代ならではの演奏が求められる。「今の時代や自分というパーソナリティーに応じて『私はこう弾きます、すみません』と作曲家に敬意を。それをたくさんやった人には、個性としてにじみ出てくるものがある」

 演奏家、コンサートマスターとしての長い経験が、言葉にあふれていた。

しのざき・ふみのり バイオリニスト。1963年生まれ、福岡県出身。幼児教育の先駆者である両親に3歳からバイオリンの手ほどきを受ける。81年ウィーン市立音楽院に留学。翌年ウィーンで欧州デビュー。88年に帰国し、群馬交響楽団、読売日本交響楽団でコンサートマスターを歴任。97年NHK交響楽団コンサートマスター就任、現在は第1コンサートマスターを務める。ソリストをはじめ、室内楽奏者、指揮者として国内外で活躍。東京芸大、桐朋学園大、昭和音大で後進の指導に当たる。NHK「クラシック音楽館」に案内役で出演中。
 2018年の第34回から「かながわ音楽コンクール」(神奈川新聞社、同コンクール運営委員会主催)のバイオリン部門で審査員長を務める。

記者の一言
 クラシック界のトップレベルで活躍中の「まろさま」に話を聞けると、わくわくして取材日を迎えた。クラシックファンの間では「まろ」の愛称で知られる。お公家さん、ではなく、小学生のとき、教科書で東洲斎写楽の役者絵を見た友人に「似ている」と言われたことがきっかけ。「なぜか隣に載っていた喜多川歌麿の方で呼ばれるようになった」という。楽しい話が続く中で、チェロを演奏する記者は「こう弾きたいと思ったら、必要な技術やメカニックが見えてくる。見えないなら憧れで終わる」といった教示を受けた。かながわ音楽コンクール参加者にも何かをつかんでほしいと思う。同コンクールは現在、第35回の申し込みを受け付け中。問い合わせは同コンクール事務局電話045(227)0779(午前10時~午後6時)。


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