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「自由のために闘う」 高橋源一郎が田中優子と対談 明治学院大で大学巡りセミナー

カルチャー 神奈川新聞  2018年11月29日 20:29

大学の自由を巡り対談する田中優子(左)と高橋源一郎=13日、横浜市戸塚区の明治学院大
大学の自由を巡り対談する田中優子(左)と高橋源一郎=13日、横浜市戸塚区の明治学院大

 作家で明治学院大教授の高橋源一郎による公開セミナー「さらば大学」が、横浜市戸塚区の同大横浜キャンパスで始まった。高橋の定年退職にちなむタイトルには、政界や経済界からの“風圧”で変革を迫られる大学の苦境も含意する。

 初回は、学問の自由を守る「闘い」について、法政大総長の田中優子と対談。話は、二人が経験した学生運動から始まった。

 高橋は1969年に横浜国大に、田中は70年に法大に入学した。兄の影響で学生運動を当然に思っていた田中はしかし、入学後に違和感を覚えたという。党派対立や自治会費の争奪、内ゲバの果ての殺人を目撃。「市民運動が腐敗し、崩壊するのを見てしまった」

 一方で、当時の大学は田中にとって、自らの政治的立場を明確に意識し、示す空間として迫ってくる存在だった。高橋も「世界を把握し、意見を持たないと生きていけなかった。(考える必要性が)ズカズカと暴力的に割り込んできた」。

 翻って今、二人は大学が「考えさせない空間」に変貌したと感じるという。

 高橋は2005年に明学の教員となるまで大学から遠ざかっていた。「30年ぶりにキャンパスというものに来て、びっくりした。立て看板もビラもない」。学生運動の反動で極端に非政治化され、清潔になっていた。

 二人の議論は、そういう現代の大学で「いかに自活的に考えるか」に移った。田中は専門の江戸学を引き合いに、藩校や私塾が出世のためでなく、人間的に成長するためにあったことを説明。「高度成長期に確立した新卒一括採用のシステムはなくなる。新卒でなくても、在学中にも就職できるようになるだろうし、何歳になっても学ぶことが当たり前になるだろう」

 田中は、学生運動とは異なる「闘い方」を模索してきたと明かした。近年問題になった防衛省の研究助成に対し、大学として軍事研究をしないと宣言したことは「闘い」の一例だ。

 「社会に出たときに妥協しない。闘いなさい、と言いたい。今は総長として、自由を守るための実践的な知を伝えている」

 公開セミナーの今後の予定は▽12月4日 放送大教授・原武史と対談▽同11日 社会学者・上野千鶴子と対談▽同18日 高橋の最終講義。午後4時45分から6時15分まで。参加無料、予約不要。問い合わせは、主催する同大国際学部付属研究所電話045(863)2267。


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