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両親らの請求棄却
「いじめ原因」認めず 横須賀・女子高生自殺未遂

社会 神奈川新聞  2016年11月08日 02:00

 横須賀市の私立高校の女子生徒(18)が自殺を図り植物状態になったのは、同級生からいじめを受け、学校側も適切に対応しなかったのが原因として、女子生徒と両親が同級生4人や学校側に計約1億1500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁横須賀支部は7日、「期間は非常に短かった」「意地悪程度の行為だった」などとして請求を棄却した。両親側は控訴を検討するとしている。

 庄司芳男裁判長は「(女子生徒は)グループから疎外され、いじめを受けていると感じるようなつらい思いをしていた」としつつ、女子生徒を無視するなど同級生の態度が変化したのは、自殺未遂の当日を含め5日間ほどだったと指摘。継続性がうかがえないことなどから「同世代の未成熟な少年少女が集団生活を送る中で起こり得る意地悪程度のもの」とした。

 両親側は、女子生徒から相談を受けた担任教諭が同級生から事情を聞き、女子生徒の両親にも連絡すべきだったと主張していたが、判決は、担任が違法行為と認識できるようなものでなく「注意義務が生じていたということはできない」と退けた。

 判決によると、女子生徒は1年生だった2014年5月15日ごろから、仲の良かった同級生4人から突然無視されたり、にらまれたりした。同19日に担任に相談し、翌20日に自宅で自殺を図った。

 学校側は「判決を真摯(しんし)に受け止め、今後もより一層適切な学校運営に努める」とのコメントを出した。

父親が会見 「納得いかぬ」




 女子生徒の父親(40)は判決後に会見し、「(行為の)期間は関係ない」などとした上で「納得がいかない」と悔しさをにじませた。

 父親は、いじめ防止対策推進法が「いじめを受けていると思われるときには、(学校は)速やかにいじめの事実を確認、当該学校の設置者に報告する」としている点を挙げ、「実行してくれれば、ここまでならなかった可能性は十分にある。親として逃げ道をつくったが、学校は何も連絡をしてこなかった。学校側も逃げ道をつくってもらえればと思ってしまう。何のためにいじめ防止対策推進法ができたのか」と憤った。

 今後については「娘には、まだまだ諦めないと話したい」と語った。

「期間短い」定義に一石


解説
 同級生から受けていた無視などの行為と女子生徒の自殺未遂の因果関係ついて、横浜地裁横須賀支部が示した判断は「自殺未遂に追い込むほどの影響力はない」だった。

 判決は、同級生の態度が変化した期間が5日間ほどだった点などを踏まえ、「非常に短かった」と指摘。暴力やインターネット上で仲間外れにする行為も伴わず、「社会通念上許される限度を著しく逸脱しているとはいえない」とし、違法性を認めなかった。

 大津市の中学2年の男子生徒の自殺をきっかけに、2013年に施行された「いじめ防止対策推進法」は、いじめを「対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」と定義。いじめを受けていると思われる際は、学校に迅速な対処を求めている。

 女子生徒の遺書には「いじめられてすごい悲しかった」と記されていた。女子生徒の父親(40)は「期間は関係ない」と訴える。

 今回の判決は、行為の態様とともに、いじめの定義と期間についての問題を投げ掛けた形だ。


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