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小田原少年院から王者に プロボクサー勅使河原さん 「道は自ら切り拓く」

社会 神奈川新聞  2018年11月23日 10:36

閉庁式で小田原少年院長表彰の授賞を受けた勅使河原弘晶さん(右)=小田原市扇町
閉庁式で小田原少年院長表彰の授賞を受けた勅使河原弘晶さん(右)=小田原市扇町

 老朽化や少子化などを受けて来年3月末に閉鎖される小田原少年院(小田原市扇町)からはこれまで、6千人以上が更生のための教育を経て出院した。その一人、勅使河原弘晶さん(28)=東京都杉並区=は在院中にプロボクサーを志し、現在東洋太平洋スーパーバンタム級チャンピオンの座にいる。「少年たちに、自分の考え方次第で道は拓(ひら)けると伝えたい」と話す。

 「この少年院で生まれ変わり、ボクサーになろうと決心した。絶対に世界チャンピオンになって、可能性があることを伝えたい」

 今月15日にあった同少年院の閉庁式。かつて自分が収容され、出院後には講演もした場に招かれた勅使河原さんは式典後、感謝の思いを込めて語った。

 17歳から19歳まで同少年院にいたが、収容は2度目だった。生まれ育った群馬県で暴走族に入り暴走行為や傷害を繰り返した。新潟県の少年院を出てからもすさんだ気持ちは変わらず、出院の3カ月後には再び逮捕された。

 幼少期に両親が離婚。小学生のころ、5年間にわたり義母から虐待された。細かいことはもう思い出せない。「虐待を受けたから非行に走ったと思っていた」と当時を振り返る。

 だが、小田原少年院で言われた教官の言葉が胸に響いた。「義母に人生を決められていいのか」。そう諭され「自分の人生は自分で切り拓こうと決めた」という。

 在院中に元ボクシング世界王者の輪島功一さんの自伝を読み、ボクシングの世界に進んで頂点を目指そうと決意した。同少年院を出た後に上京。アルバイトで生活費を稼ぐ傍ら、25歳のプロデビューから世界の頂に立った輪島さんが会長を務めるジムの門をたたき、練習を重ねてきた。

 昨年秋に世界ボクシング機構(WBO)アジア・パシフィック・バンタム級王座を獲得。今年10月には東洋太平洋スーパーバンタム級王者になった。世界ランク3位にまで上り詰め、着実に歩を進めている。

 閉庁式で小田原少年院長表彰を受けた勅使河原さんは「小田原少年院に入り、人生が180度変わった。恩返しがしたい」と言い、こう続けた。

 「閉鎖は寂しいが、ボクシングの世界で結果を出していくことで、非行少年や悩んでいる少年たちに何かいい影響を与えたい」


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