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第35回神奈川工業技術開発大賞 奨励賞 サクラテック(横浜市港北区)
挑む中小企業(6)高機能を安く身近に

経済 神奈川新聞  2018年11月14日 17:22

「miRadar8」のセンサーモジュールを手にするサクラテックの酒井文則社長 =横浜市港北区
「miRadar8」のセンサーモジュールを手にするサクラテックの酒井文則社長 =横浜市港北区

 暗闇や霧といった視界不良な場合や、積雪や倒木などの障害物がある環境下でも人や車などの移動物体の検出ができるレーダーセンサー。これまで大型、高価格で、軍などの限られた機関しか使用できなかった。それを小型化して価格も抑え、さらに高性能な「小型省電力MIMOレーダプラットフォーム『miRadar8(マイレーダーエイト)』」として、より身近なものにした。

 使用しているのは、通常のレーダーより検出範囲が広く、しかもより正確に位置が分かる高機能なMIMO(マイモ、Multi-Input Multi-Output)レーダー技術だ。処理する計算量が多いこともあり、これまで敷居が高かった。

 今回、米国の半導体メーカー、アナログデバイセズと開発段階から協業。最新のチップセット(集積回路)を使用することで、小型、軽量で、消費電力も低く、高機能なレーダーセンサーの開発が実現した。「一般工業品として、誰でも使える形にした」と酒井文則社長は意義を説明する。

 マイモは、対象物をより正確に捉えられることが特長だ。信号処理ソフトを変えることで、たとえば心拍数などの生体情報も検出することができる。また、距離や方向、対象の位置が正確に分かるため、複数の対象物を同時に検知することも可能だという。

 すでに、除雪車両の後方接近車両検知システムが開発され、実際に運用されている。こうした車の衝突防止センサーのほか、監視カメラなどでの利用が想定できる。

 また、複数人の心拍、呼吸などの情報を高精度に検知できるため、ケアハウスや保育施設などでの見守りにも活躍しそうだ。「少子高齢化や健康長寿に関連する社会的な貢献、効果が期待できる」(酒井社長)という。

 同社は、電波のイメージング技術の可能性を追求しようと2008年、酒井社長が大手メーカーから独立して設立した。10周年を迎えた今年、同社初の量産品として市場に出したのがマイレーダーエイトだった。

 酒井社長は、「1番目の製品がこういう賞をいただき非常に大きな喜び」と顔をほころばせ、今後について「カメラに代わるようなロボットセンサーにも使えるセンサーシステムを、開発したい」と意気込みを語った。


サクラテック 2008年10月設立。ウルトラワイドバンド技術を用いたイメージセンサーの開発、販売。資本金1千万円。従業員8人。横浜市港北区新横浜3丁目。


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