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病気と闘う子の「分身」を教室に 横浜で実証実験

話題 神奈川新聞  2018年11月10日 09:48

教室に配置された「分身ロボット」。病棟の児童の意思を代弁する=横浜市南区の県立横浜南養護学校
教室に配置された「分身ロボット」。病棟の児童の意思を代弁する=横浜市南区の県立横浜南養護学校

 病気などで学校に通えない子どものための「分身ロボット」が、新たな可能性を広げている。県教育委員会の実証実験で、県立こども医療センター(横浜市南区)内の県立横浜南養護学校に導入。病と闘う子どもたちの思いを教室の先生や友達に届ける“以心伝心”の手段として、寂しさや心細さを振り払う一助となっている。

 「三葉虫、知っていますか?」-。小学部6年生の教室。先生の問い掛けに、児童に混じってうなずく。机を並べる男子児童がアンモナイトの化石を手に取ると、首をかしげながら右手を挙げる。ロボットの動きの一つ一つに教室の子どもたちは頬を緩め、病室からタブレット端末を使って遠隔操作する児童も、その様子をモニター越しに眺め自然と笑みがこぼれる。

 ロボットは、東京都港区の「オリィ研究所」が開発した「オリヒメ」。在宅勤務者の会議参加などにも活用され、拍手をしたり首を振ったりと10種類ほどの動作や音声通話が可能だ。高さ約20センチの小さな体で教室と病室、双方の児童をつなぐ大きな役割を担っている。

 病室の子どもにとっては負担軽減の側面もある。同校ではこれまでも、インターネットを介して病室と教室をつなぐシステムを活用してきた。だが、「顔を出したくないという子や、言葉でコミュニケーションを取れないケースもある」と副校長。病室で行う一対一の授業も心身への負担を考慮する必要があるという。

 血液の病気で今年4月から入院中の男児(12)は「操作は面白かった。自分の代わりにロボットが表現してくれるので役立っているかな」とはにかみ、傍らで見守る母親は「黒板や友だちの表情などを見ることができて久しぶりに学校の雰囲気を楽しめたよう」と目を細める。

 一方、「同じ学校で学んでいるという一体感が教室にいる児童にも植え付けられる」とはこのクラスを受け持つ教諭(25)。教える側にとっても、「(映像配信だけでは)伝わっているのか不安があるが、反応が分かるので安心する」と手応えを口にする。

 県教委は19日まで実験を行い、検証結果を踏まえて本格導入や他校への拡大も図る考え。同校での授業では動作に加え、自動音声や字幕などで言葉や気持ちを表現できた方がいい、などの改善案も出された。「教室の子たちともっと会話ができたらいいな」と、この男児。ロボットがつなぐ友情が闘病の支えとなりそうだ。


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