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紅葉と釣り名所・震生湖(秦野・中井)
駐車禁止 行楽に秋風 入り口私道巡り地権者、秦野市が対立

カルチャー 神奈川新聞  2016年11月06日 09:43

市が10月24日、駐車場内に設置した「駐車禁止」を呼び掛ける看板。多くの人が構わず駐車している
市が10月24日、駐車場内に設置した「駐車禁止」を呼び掛ける看板。多くの人が構わず駐車している

 紅葉と釣りの名所として知られる震生湖(秦野市、中井町)で、秦野市が湖畔にある市営駐車場を利用休止にしたことが5日、分かった。駐車場に通じる私道を地権者である秦野商工会議所前会頭の関連会社が車両通行禁止にしたためで、前会頭は「市が道路を買い取り、市道にすべきだ」と主張。市は「寄付してほしい」と買い取りに難色を示す。湖畔唯一の駐車場が突然利用休止となり、釣り客から戸惑いの声が漏れる。


◆「突然」釣り客ら困惑
 問題となっている私道の長さは約150メートル。このうち約100メートルを地元の「関野建設」の関連会社が所有する。市道との境には「この道路は当社私有地 車両通行禁止」と書かれた看板が立つ。

 関野建設社長で秦野商工会議所前会頭の関野義一さん(79)は「私有地のため、事故があれば会社の責任になる。倒木の危険もあり、やむを得ず車両通行禁止にした」と話す。

 だが、私道の前に柵などはないため、釣り客は看板を無視して市営駐車場を利用している。関野さんは「道路は市に原価で譲ってもいい。市道として管理してほしい」と訴える。

 市観光課は「私道を寄付してほしいと交渉をしてきた経緯がある」と買い取りに応じない考え。「関係者以外通行禁止」と書かれた看板が立てられた2年ほど前から、誰でも私道を通行できるように関野さんに打診してきたといい、現在も同じ立場だ。

 ところが、同課は10月24日、駐車場内に「この周辺は駐車禁止」と看板を出し、利用中止を周知した。「地権者が車の通行を認めていない私道の先に市営駐車場があるので、このままでは利用者の違法状態を助長しかねない」との判断があったという。「湖畔から150メートルほど登った場所にあるもう一つの市営駐車場を使ってほしい」という。

 震生湖は年間約10万人が訪れる市内有数の観光地。市は1970年、道路の先の土地を借りてトイレを整備。2005年、トイレ前の土地も借りて、無料の市営駐車場にした。駐車場周辺には貸しボート店もあり、震生湖観光の拠点となっている。その後12年に、関野さんの会社が、私道と私道沿いの土地を買い、太陽光発電施設を整備した。

 関野さんは当初、観光施設を開発する計画だったが「市の理解が得られず、断念せざるを得なかった」と振り返る。また、施設完成後、施設内の排水路を市が管理するために地役権の設定を求められたという。「地役権があると土地を自由に売れなくなる」と話し、市への不信感から「私道は12月1日から徒歩も含めて通行止めとする。バリケードを設置する」と明かす。

 駐車禁止となった駐車場を利用していた釣り客の男性(30)は「駐車禁止とは知らなかった。地権者の考えなら仕方ない」と話す一方、別の男性(61)は「道路を関野さんが買うずっと前から使っている。なぜ、突然」と困惑する。

 駐車場の先には男性(60)夫妻が住み、貸しボート業を営む。男性は「駐車場が使えなくなると、商売に影響が出る」と戸惑う。

 多くの人が訪れる紅葉のシーズンを前に、観光地が道路を巡って揺れている。


震生湖 1923年9月、関東大震災で川がせき止められて、生まれた。面積は1万3千平方メートル。秦野市によると、湖面を含め、合計で約150人の地権者が所有している。年間の観光客数は約10万人。紅葉の名所として知られるほか、平日もバスやヘラブナ目当ての釣り客でにぎわっている。


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