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戦争遺跡を掘り起こし、伝承する 川崎で若手研究者が発表

話題 神奈川新聞  2018年11月05日 02:00

戦争の現実を伝える活動を発表する渡井さん(右)と横山さん =川崎市平和館
戦争の現実を伝える活動を発表する渡井さん(右)と横山さん =川崎市平和館

 戦争体験者が減りゆく中、戦争遺跡を通じて「モノから人へ語り伝える」活動を続ける若手研究者らが4日、川崎市平和館(同市中原区)でそれぞれの取り組みを発表した。市民団体が3日から開催した「川崎・横浜平和のための戦争展」の企画。地域に残る戦争遺跡を掘り起こし、伝承する大切さを訴えた。

 明治大生田キャンパスにある旧陸軍の謀略機関「登戸研究所」の資料館。風船爆弾や偽札などの展示の案内員を務める同大大学院生、渡井誠一郎さん(28)は「親も戦後生まれの今の若者には言葉で伝えるだけでは戦争を具体的に想像できない。『モノ』という資料には、ありのままを伝え、想像を手助けする力がある」と語った。

 慶応義塾福沢研究センター調査員の横山寛さん(31)は慶応大から学徒動員で特攻隊員となり「きけわだつみのこえ」の遺書で知られる上原良司の研究成果を紹介。「きょうだいや日常生活に関する資料も得られた。幅広く関心を持ってもらうため多角的に収集することを意識している」と述べた。

 2人の発表に「歴史を学び伝える意味が明確になった」とうなずいたのは、法政二高1年の竹内悠馬さん(15)。社会科学・歴史研究部の活動で登戸研究所の資料館に通う。

 そこで知ったのは研究所に動員された地域住民も手を染めた加害の歴史。「戦争の歴史が身近にあって驚いた。許されないと思う一方、当時の状況では仕方がなかったとも感じるが、歴史を知れば同じ過ちを繰り返ずにすむ」と話していた。

 一橋大の吉田裕特任教授も講演し、多くの餓死者を出すなどした旧日本軍の悲惨な実態を紹介しながら「間もなく戦争体験者がいなくなる時代を迎える。現在と過去をつなぐ回路を設ける必要がある」と警鐘を鳴らした。


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