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第35回神奈川工業技術開発大賞 大賞 ヘルツ(横浜市神奈川区)
挑む中小企業(2)防振特性を大幅向上

経済 神奈川新聞  2018年11月03日 11:25

開発した超低周波数防振システム「G-Zero」
開発した超低周波数防振システム「G-Zero」

 歩行する人々や、通行する車、室内を循環する空気など、身の回りには振動を生み出すものがあふれている。研究開発を進める際、こうした振動はデータの測定などに狂いを生じさせることがあり、防振が欠かせないものとなっている。

 特に、宇宙物理学での重力波の検出など、最先端の技術開発分野では、超微小な重力変動を検出することが求められる。つまり、外部からの振動の影響をより一層、無くす必要に迫られているという。

 そこで、そうした需要に応え得る性能を追求し、防振特性を大幅に向上させた「超低周波数防振システム『G-Zero』」を開発した。新たな発想で誕生した、「限りなく環境の影響を受けにくいシステム」(安田悦郎社長)だ。

 これまでの防振システムは、コイルバネや防振ゴム、空気バネなど、使う技術の変遷に伴い性能も進化してきた。一方、最先端分野で求められる超低周波領域の防振には課題があり、さらに性能を高めようにも、従来技術の改良では限界があったという。

 そこで、振り子方式と倒立振り子方式を組み合わせるという、従来にない仕組みを採用。板バネを基本に2種類の振り子を合わせて調製することで、水平・垂直方向の固有振動数が0・25ヘルツという、世界最高水準の防振性能を有することができた。

 また、コンパクト化も実現。宇宙物理学などで必要な高性能の防振装置を従来技術で作ろうとする場合、10メートル以上の高さになるが、新システムでは最小で85センチから可能。研究開発施設がどのような環境であろうと、高さが1メートルもあれば、高性能な防振装置を設置することが可能になる。

 さらに、これだけの性能を備えながら電気を使わない点もポイントだという。これまでの高性能な防振装置では、電気を使わざるを得ず、電子ノイズが生じていた。高性能でありながら、そうした悩みと無縁であることも、大きな特長だ。

 「世界一のものを作ろう」との思いで開発したという同システムは、宇宙関連はもちろん医学、生物学など、多くの先端分野での活用が期待される。国内の多くの研究機関のほか、海外からも関心が寄せられている。安田社長は「防振システムは脇役で、この装置に乗った主役が成果を出す。そうした支える技術が理解いただけたことがうれしい」と受賞に喜びの声を上げた。

◆ヘルツ 1979年9月設立。防振台や除振台、防音機材、測定環境の開発・販売。資本金7千万円。従業員27人。横浜市神奈川区栄町。


安田悦郎社長
安田悦郎社長

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