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台風で学生の船が破損、江の島のW杯で移設 提訴も視野に

社会 神奈川新聞  2018年11月03日 02:00

暴風を受け大きく破損した艇。同様の被害が相次いでいる=藤沢市の江の島ヨットハーバー
暴風を受け大きく破損した艇。同様の被害が相次いでいる=藤沢市の江の島ヨットハーバー

 台風24号の暴風による爪痕に、学生セーラーたちが頭を悩ませている。藤沢市の江の島でのワールドカップ(W杯)開催に伴い、県の依頼でヨットハーバーから仮置き場に移設した小型ヨット(ディンギー)が破損。修理には1艇につき数十万円の費用がかかるとされ、廃棄を余儀なくされた艇も出ている。艇を管理するOBらは「好意で動かした上でのこと。このままでは来年以降、協力できない」と補償を含めた対応を県に求めている。 

 10月1日午前、最大風速40メートル超を記録するなど、猛烈な風が藤沢市の江の島に襲来。艇を固定していたロープが船体に食い込み傷を付けたり、折れたマストが刺さり船底に穴を開けたりといった被害が相次いだ。

 江の島ヨットハーバーは、1964年東京五輪のヨット競技の会場として整備された。一般利用のほか、大学のヨット部などの活動拠点としても利用され、現在は関東の約40校がディンギーを陸置きしている。

 関係者によると、修理に20万円以上かかる被害を受けたのは判明しているだけで88艇。「軽微なものを含めると数え切れない」とし、今後も被害額は膨らむ見通しだ。

 9月9~16日のW杯開催を巡り、主催者側からの要請で県が常設場所からの移動を依頼。被害を受けた艇の多くが、道路を挟んだ向かいの「江の島かもめ駐車場」に設けられた仮置き場に留め置かれていた。

 艇は国産で150万~200万円、輸入艇だと300万円を超えるものもあるとされる。

 日本医科大のディンギーは、納入後3カ月で大破した新艇。同大の指導者は「調整を繰り返してやっとレースで使えるかな、というところでの被災。保険に入っていない艇もあり、自腹で出さないといけない」とうなだれる。艇の移動を依頼した県の責任にも言及し、損害賠償請求での提訴も視野に、態度を硬化させる。

 練習用の艇は既に学生らが修理を行ったものもあるが、レース艇はそうもいかない。水圧などが繊細に計算されているため、業者に依頼する修理となるが、表面を修復しても元の水準には戻らないという。

 嘆き節は今後の活動にも及ぶ。「練習艇がなく、海に出られない学生が出る。そうなると辞めてしまう学生も出てきてしまう」。ある大学のOBは舳先(へさき)が大破した艇を呆然とした表情で眺める。

 ただ、予期できぬ自然災害であり、ハーバー内に停泊していた艇にも被害が出ていることから、移設が被災の原因と必ずしも結び付かないとの見方もある。

 県は被災状況の聴き取りを行っており、五輪開催に向けた機運醸成や今後の協力を求める立場から、大学側に極力寄り添った対応に努める方針。ただ、具体的な対応策については「自然災害に対し、何ができるかは前例がなく難しい」とし、さらなる協議を進めるとした。

 ある大学のOBの一人は、日頃から部員のアルバイト代などで活動費の不足をしのいでいると、窮状を訴える。「既に大会の運営ボランティアなどで協力しており、これ以上、学生に余計な負担を課してほしくない。県などの対応には疑問。このままではせっかくの五輪が負のレガシー(遺産)ばかりになるのではないか」


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