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大磯町長選(下)給食 拙速な議論に懸念も

選挙 神奈川新聞  2018年11月02日 12:13

昨年10月に休止されたデリバリー方式の給食=昨年9月
昨年10月に休止されたデリバリー方式の給食=昨年9月

 小学5年生の長男がいる地元の男性(47)は、大磯町が進める中学校給食再開に向けた議論を注視している。長男が町立の中学校に進学すれば弁当を毎日用意しなければいけなくなり、夫婦共働きの男性にとって手間がかかる。

 だが、負担の軽減以上に求めているのは、工場から配送された弁当ではなく、学校の調理場で作られた温かい給食だ。「給食は生きた教材。調理する側と食べる側が互いに顔の見える関係をつくって、安心できる給食にしてほしい」と望んでいる。

 町は昨年、学校給食の問題で揺れに揺れた。

 2016年1月、町立中学校2校でデリバリー方式の給食がスタート。だが翌17年9月、その給食が毎日大量に食べ残されていることが発覚。食中毒防止のため料理を一度、20度以下に冷ましてから配送していることが原因だった。生徒からは「冷たくてまずい」との声が相次いだ。

 続けて髪の毛や虫などの異物混入も明らかになる。全国ニュースでも取り上げられ、後手の対応に回った町は同年10月、給食休止に追い込まれた。

 「そもそも(給食の)スタートの時点で自分たち生徒の意見が反映されなかった」「みんなと同じものが食べたい」-。

 今年7月、中学校2校の生徒らは中崎久雄町長のもとを訪れ、直談判した。中崎町長は「君たちが望む給食ができなかった。ブランクをつくって申し訳ない」と謝罪し、早期再開に意欲をにじませた。

 町教育委員会は18年度、給食の実施方式の可否について業者に調査を委託。10月に中間報告が出され、保護者や学校関係者らでつくる検討会に示された。

 中間報告では、(1)校舎内に調理場を設ける「自校方式」(2)共同調理場から配送する「センター方式」(3)小学校の調理場で中学校分も作る「親子方式」-について実施可能かどうかを判定した。

 共同調理場については計約17億円の資金が必要と試算。親子方式は現在の設備では困難とした。また、保護者が求める自校方式についても特に国府中学校敷地内での用地確保が難しいとし、町が想定する3方式での実施は困難と判定した。

 中間報告は実現性のある第4の選択肢として、自校方式とセンター方式の折衷案に当たる「兄弟方式」を提案。大磯中学校の老朽化した校舎を調理場に建て替えた上で、2校分の給食約900食を1カ所で調理する計画だ。


中学校給食再開に向けた検討案
中学校給食再開に向けた検討案

 10月下旬、文化祭でにぎわう国府中の校舎の一角にPTA会長の名義の意見書が、学校側も了承した上で張り出された。

 「このような調査報告で、当初からの目的である自校方式実現に向けての考えありきの調査とは思えません」。兄弟方式ありきとも取れる中間報告の内容に疑問を呈した。

 兄弟方式になれば、国府中の生徒だけが外部から配送された給食になる。PTA会長の山口学さん(42)は「自校式が本来の目指す目標のはず。町は保護者に対してもっと説明を果たすべき」と注文する。

 町長選告示日前日の12日に開く検討会で、町教委は最終的な結論を出したい意向だ。最終とする次の検討会は2回目。町教委は19年度の予算要求に間に合わせようとスピード感を重視するが、その姿勢に議会関係者から「拙速に結論を出す必要があるのか」との声も上がる。

 何より安心できる給食を求めている前述の男性がこう訴える。「そもそも前回も強引に議論を進めてデリバリー方式にして失敗したのに…。自校方式が無理なら、その根拠を誰でも納得できるよう示すべきだ」


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