1. ホーム
  2. 社会
  3. 日産新HV「ノート」 実態と実力は?

日産新HV「ノート」 実態と実力は?

社会 神奈川新聞  2016年11月05日 13:15

2日から全国発売になった日産自動車の新型ノート=横浜市西区
2日から全国発売になった日産自動車の新型ノート=横浜市西区

 2日から販売開始した日産自動車(横浜市西区)の新型「ノート」。いわゆるマイナーチェンジだが、開発に10年を費やした新たな駆動システム「e-POWER(イー・パワー)」を初搭載し、従来とは仕組みが異なるハイブリッド車(HV)となった。同社幹部が「国内コンパクトカー領域の(競争力向上に向けた)切り札」とも語り、電気自動車(EV)「リーフ」で磨いてきた「電気」の走りを貫徹したという新技術とは-。

加速に醍醐味


 「HVでいかにEVらしく走れるか。限界値を目指し、その近いところにあるものに仕上がった」。10月下旬の日産本社。事前の記者説明会で、パワートレイン技術開発本部の仲田直樹氏は自信をみなぎらせた。リーフ改良に携わり、イー・パワーの開発も主導した一人だ。

 イー・パワーで取り組んだのは、小型量産車での市販化が日系メーカー初となる「シリーズハイブリッド」と呼ばれる技術。従来のHVは走行環境などに応じ、エンジンとモーターを組み合わせて動力源にする。シリーズハイブリッドのイー・パワーはエンジンは発電に専念し、バッテリーに充電する。駆動は完全にモーターのみで行う。


日産自動車の新型ノートの車内。D字型のステアリングを採用するなどスタイリッシュに仕上げた=横浜市西区
日産自動車の新型ノートの車内。D字型のステアリングを採用するなどスタイリッシュに仕上げた=横浜市西区

 それは何を生み出すか。企画・先行技術開発本部の担当者は言う。「従来のHVは動力源にも使うエンジンの存在があるのでモーターが小さい。結果、一定以上の加速をする際、エンジンが頑張らないといけなかったりする。イー・パワーは大出力モーターを使うため、発進時からあらゆる場面で、常にモーターの醍醐味(だいごみ)であるレスポンスの良い加速が生み出せる」

室内静か


 エンジンを駆動から切り離すゆえの室内の静かさも実現。場面別で見ると、発進・走行時でバッテリー残量が十分な場合は発電せず、エンジン音は基本的にしない。残量が少ないときは発電と充電をしながら走行するが、「効率のいいポイントで集中的に発電し、なるべくエンジンを動かさないようにした。従来のHVよりエンジン音を感じにくく仕上げた」(仲田氏)。

 急加速や登坂時にはエンジン発電とバッテリーの双方から電力供給し出力を高め、一気に速度をアップする。減速時はブレーキをかけた際のエネルギーを活用して発電し、電力をバッテリーに充電する仕組みという。

 良いことずくめに思えるシリーズ方式だが、なぜ他社が積極採用してこなかったか。前述の担当者は「動力源に大出力モーターを使うが、その費用が高い。ノートはしかし、基本的にリーフ譲りのモーターやインバーターなどを用い、コストダウンと両立できた。それらの量産技術に一から取り組むとするならば、200万円を切る価格帯の量産化はかなり厳しかったと思う」と説明した。

 仲田氏も「エネルギーマネジメントやモーター制御、制振などさまざまな面でリーフで得られた知見や技術を多く生かしたからこそ実現できた」と述べた。


日産自動車の新型ノートのフロント内部。新たな駆動システム「e-POWER」を構成するエンジンやインバーター、モーターなどが納められている=横浜市西区
日産自動車の新型ノートのフロント内部。新たな駆動システム「e-POWER」を構成するエンジンやインバーター、モーターなどが納められている=横浜市西区

西川CEO「ノートで存在感を」



 11月からカルロス・ゴーン氏と並ぶ共同CEO(最高経営責任者)に就任し、2日の新型ノートの発表会に出席した西川廣人氏は「(イー・パワー搭載の購入割合について)間違いなく半分を超えるだろう」「(イー・パワーを搭載した)ノートの発売を契機に、日本市場での存在感をあげていく」と強い自信を隠さなかった。ストップ・アンド・ゴーが多い市街地でイー・パワーの強みをより発揮できるとして、アジアや欧州などグローバル展開に含みを持たせた。


新型ノートの発表会に登壇した日産自動車の西川・共同CEO=横浜市西区
新型ノートの発表会に登壇した日産自動車の西川・共同CEO=横浜市西区

 またある幹部は、単にイー・パワー投入が新車の魅力を高めるだけでなく、クルマの電動化に向けた中長期的な戦略の文脈上にあることに言及。EVの航続距離や充電インフラ環境、充電時間などには、いまだにハンディがある現実を認めた上で、こう続けた。

 「われわれはもっとEVを強化しないといけない。そのためにEVの走りをより多く経験してもらい、注目してもらわねばならない。イー・パワーは、消費者にEVへの移行を促すプロセスだ」


2日の新型「ノート」の発表に合わせ、同日に日産本社周辺で報道機関向け試乗会が行われた=横浜市西区
2日の新型「ノート」の発表に合わせ、同日に日産本社周辺で報道機関向け試乗会が行われた=横浜市西区

【試乗ルポ】新感覚の走り 乗れば分かる



 新型ノートが発表された2日、日産本社周辺で実施された報道機関向け試乗会で「イー・パワー」の走行を体験した。

 本社地下から説明員と乗り込み、ノーマルモードで発進。間もなく湧き上がったのは、かつてリーフに初試乗した時と同じ感覚だ。とにかく加速が滑らかで

この記事は有料会員限定です。

月額980円で有料記事読み放題/100円で24時間読み放題のコースも。詳しくはこちら


シェアする