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2018ミニ統一選(1)わがまちの行方
二宮町長選(上)高齢化 空き家対策、住民が汗

選挙 神奈川新聞  2018年10月30日 12:23

高度経済成長期に宅地造成され、急速に高齢化が進む二宮団地=二宮町百合が丘
高度経済成長期に宅地造成され、急速に高齢化が進む二宮団地=二宮町百合が丘

 「人生100年の時代。100歳までの家計のキャッシュフロー(現金収支)の計画表を作って“家じまい”の時期や方法を考えましょう」

 10月の平日午後、二宮町立一色小学校(同町百合が丘)の空き教室の一室。ファイナンシャルプランナーの木村道子さんが、学びやにはやや場違いの大人たちに向けて解説していた。

 この日は、空き家対策をうたう「住まいの利用・活用講座」の初回。熱心に耳を傾ける約20人に、講師の木村さんは警鐘を鳴らした。「家の資産価値があるうちにリフォームか売却かを決めましょう。決断が早ければ、老後の資産も多く確保できます」

 講座の主催は「一色小学校区地域再生協議会」。協議会には町、県住宅供給公社も参加する。講座は地域住民主体の空き家対策の一環で、2018年度から国交省の補助金も受けて開催している。

 「住民は空き家そのものに手を出すことはできない。それならば、空き家を出さないための取り組みに視点を移した」と、協議会の廣上正市事務局長は強調する。

 講座は来年2月まで全8回を予定。リフォームや相続の基礎知識を習得することで、空き家の“予防”につなげていきたい考えだ。


空き家の予防に向けた講演会で解説するファイナンシャルプランナー=二宮町百合が丘の町立一色小学校
空き家の予防に向けた講演会で解説するファイナンシャルプランナー=二宮町百合が丘の町立一色小学校

 町が2年前、一色小学校区をさまざまな地域課題に取り組むモデル地区として選定し、協議会を設立したのは、この校区の中心に当たる百合が丘地区が「町の未来の姿」(町担当者)と捉えているからだ。

 高度経済成長期の1965年以降、かつてユリの自生地だった同地区は、県住宅供給公社による宅地造成が進んだ。小田原厚木道路に面し、都心や横浜のベッドタウンとして、「二宮団地」と呼ばれる賃貸集合住宅約850戸と、一戸建て住宅も約千戸が整備された。

 若い働き盛りの世帯が入居し、一色小学校の児童数は70年度にピークの1129人を迎えた。しかし、人口の急増でいびつな年齢構成を抱えることになったニュータウンは半世紀が経ち、老朽化と高齢化の問題に直面する。

 入居世帯がほぼ同時に年老いていく百合が丘地区の65歳以上の比率は、町内平均の33・8%(10月1日現在)を大幅に上回る42・9%。町によると、2017年度は百合が丘地区の一戸建て住宅の約6%が空き家で、一色小学校の児童数もピーク時の6分の1に当たる207人まで減った。

 同公社は現在の集合住宅28棟を18棟にまで削減する方針を打ち出している。

 協議会では現在、一色小学校の空き教室を拠点として、六つの部会がそれぞれ活動する。ヤマユリの自生地である同校の裏山の保全活動に取り組み、毎夏に一般公開するのもその取り組みの一つだ。

 地域の古民家を利用した催しや里山のハイキングコースの整備にも力を入れており、19年度からは新部会を設け、高齢者の足となる住民主体の新たな交通システムの模索を始めるなど、活動は多岐にわたる。

 岡村昭寿会長は「行政だけでは住民のニーズを把握できないし、アイデアも出せない。住民と行政が共同体として取り組むことに今までにない手応えがある」と言う。一方、一色小学校区と他地域との連携はこれからで、町は「ノウハウを町全体で共有できれば」と期待する。

 国立社会保障・人口問題研究所によると、1999年のピーク時に3万人を超えた町の人口は、2060年には1万4千人に落ち込む。課題解消に向けた試みは緒に就いたばかりだ。


 任期満了に伴う二宮町長選と大磯町長選はともに11月13日に告示され、18日に投開票される。それぞれの地域課題を探る。


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