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【高校野球秋季関東大会】桐蔭躍動 扉開く 4強入り、選抜濃厚

高校野球 神奈川新聞  2018年10月24日 02:00

準決勝進出を決め、笑顔の桐蔭学園ナイン=山日YBS球場
準決勝進出を決め、笑顔の桐蔭学園ナイン=山日YBS球場

 高校野球の第71回秋季関東大会第4日は23日、山梨県の山日YBS球場で準々決勝3試合を行い、神奈川2位の桐蔭学園は佐野日大(栃木1位)を8-1で下して準決勝進出を決めた。

 同大会の成績は来春の選抜大会出場校を選ぶ重要な参考資料となり、ベスト4入りした桐蔭は2003年以来の春の甲子園出場が濃厚となった。神奈川1位の横浜は春日部共栄(埼玉1位)に2-9の七回コールドで敗れた。

 桐蔭は左腕伊礼海斗(2年)が7安打を浴びながら1失点完投。打っては四回に四球を挟む連打とスクイズなどで3点を奪うなど、13安打に8犠打を絡めて8得点した。

 横浜はエース及川雅貴(2年)が三回途中5失点で降板。打線も二回の2得点にとどまった。

 第5日は27日、同球場で準決勝2試合を行い、神奈川勢は桐蔭が習志野(千葉2位)と戦う。

▽準々決勝(山日YBS球場)
桐蔭学園
001 311 011|8
000 010 000|1
佐野日大

 【評】桐蔭学園が投打に圧倒した。三回に森の中犠飛で先制。四回は無死一、二塁から馬場の適時打、伊礼のスクイズなどで3得点し、リードを広げた。13安打と活発な打線は8犠打を絡め、機動力を生かした攻撃で重圧をかけ続けた。

 左腕伊礼は四隅を丁寧に突き、打たせて取る投球で1失点完投。内外野の守備でも好守を連発し、バッテリーをもり立てた。

堅実さで「一戦必勝」


【佐野日大-桐蔭学園】4回表桐蔭学園無死一、三塁。伊礼のスクイズが決まり、三走川久保が生還、3点目を挙げる=山日YBS球場
【佐野日大-桐蔭学園】4回表桐蔭学園無死一、三塁。伊礼のスクイズが決まり、三走川久保が生還、3点目を挙げる
=山日YBS球場

 「一戦必勝」-。勝負の世界で言い尽くされてきた言葉を、桐蔭学園ナインは完遂した。

 「こういう大きな意味を持つ試合でも、選手たちが地区予選の時と全く同じ気持ちで戦ってくれた」。2度目のタクトを振る片桐健一監督(45)の言葉に実感がこもる。生まれ変わった桐蔭が春の扉をこじ開けた。

 1-0の四回。四球を挟み神田、馬場の連打で1点を追加すると、なおも無死一、三塁で伊礼が意表を突いたスクイズ。指揮官は「何が何でも1点を取っておきたかった」。さらに1番冨田の二ゴロで追加点を挙げて3得点。泥くさく、相手投手に食らい付いて打線をつないだ。

 ずぬけた選手はいないからこそ、各打者が状況に応じて自分の役割に徹してきた。この日は2度のスクイズを含む計8犠打。打順を問わず、7選手が確実に走者を送って勝利をたぐり寄せた。片桐監督は「消極的に見えるが、僕らにとっては攻めた結果」とうなずく。

 終わってみれば、13安打8得点の快勝だった。優勝候補の常総学院(茨城)を破った1回戦に続き、守ってもノーエラー。秋の神奈川で19失策したチームとは思えない堅守もまた、躍進を支えている。

 24年ぶりの4強入りを果たし、2003年以来となるセンバツ出場がほぼ確実となった。だが、指揮官をはじめ、ナインは冷静だった。主将森が言う。「一戦一戦、戦ってきた。今はもう、次の習志野戦のことしか考えていない」。最後まで貪欲に、勝ちにこだわる。


左腕・伊礼、熱く冷静に初完投


7安打1失点で完投勝利した桐蔭学園の伊礼
7安打1失点で完投勝利した桐蔭学園の伊礼

 ゲーム展開を左右し得る一球の重みを、左腕の伊礼は確かに感じ取っていた。

 5点リードの五回に1点を返され、なお2死満塁のピンチ。3ボール1ストライクから捕手清水のサインに2度、3度と首を振る。直後の直球で追い込むと、最後はスライダーで投ゴロに打ち取り難をしのいだ。

 勝負球のスライダーで仕留めることを逆算して組み立てた。打者にしっかり直球を意識付け「フルカウントになれば相手は打ち気になり、こちらが有利」という伊礼に、清水はあえて首を振らせる念の入れようだ。「相手を迷わせるため。サイン通り」と以心伝心の共同作業で乗り切った。

 背番号11には「忘れてはいけない」記憶がある。今夏の北神奈川大会準々決勝の慶応戦。五回途中から2番手で登板し一発を含む3回2失点で相手に流れを与えてしまった。「一球で試合が決まってしまうことを実感した」というその反省が、まさにこの日に生かされた。

 春夏の甲子園が遠のいている名門に久々の光が差した。「OBのためにも、桐蔭の名前をもう一度復活させたい」という気持ちで戦っていた左腕が期待に応え、公式戦初完投だ。頭は冷静に心は熱く-。選抜切符をたぐり寄せた127球のベストピッチだった。


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