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名付けて「ポイ竹」、レシピ付き 川崎、新商品発売へ

話題 神奈川新聞  2018年10月21日 10:30

利用価値がないとされた若竹を「ポイ竹」として売り出すことを目指す(左から)堀さん、西山さん、應家さん=川崎市多摩区のトカイナカヴィレッジ
利用価値がないとされた若竹を「ポイ竹」として売り出すことを目指す(左から)堀さん、西山さん、應家さん=川崎市多摩区のトカイナカヴィレッジ

 タケノコほど柔らかくなく利用価値がないとされていた人の背丈ぐらいの若竹を、「ポイ竹(ちく)」と名付けて食材にする取り組みが川崎市多摩区の農業体験施設で進んでいる。担い手の減少で進行する竹林の荒廃に歯止めをかける目的もある。身近にある若竹を材料にしたレシピ付きの新商品を来年5月ごろに誕生させる計画だ。

 ポイ竹の食材化を進めているのは同区東生田の松本傳左衛門(でんざえもん)農園トカイナカヴィレッジを運営する市民グループの西山雅也さん(52)ら地元有志。

 春の収穫時期に採り切れなかったタケノコは、その後2メートルほどの若竹に成長するが、手入れをせずに放置することで密集、日当たりが悪くなる。その結果、下草が育たず、土壌の流出など竹林が荒れる要因になる。若竹を食材用に間伐することで、竹林を健全に保つ効果があるという。

 西山さんが、宮崎県の一部で行われている干しタケノコ作りからヒントを得た。干しタケノコは保存食として活用されており、災害時の備蓄食料にもなると、2016年4月に同県から生産者を招いて若竹の活用法を学んだ。

 川崎市多摩区や宮前区周辺に数多く残る竹林で、里山保全ボランティアらが若竹を採り、ヴィレッジにある五右衛門風呂でゆで、天日干しにして加工。約50グラムずつ袋詰めにする試験的生産を2年半ほどかけて行った。ポイ捨てされていた若竹ゆえ「ポイ竹」と命名。乾燥商品と、水で戻したレトルト商品の2種類を試作した。

 食と農、環境の課題をテーマに活動するNPO法人「みどりなくらし」(同市中原区)の堀由夏理事長(57)が、堅い素材を柔らかくする方法や、メンマ、ジャージャー麺用の肉みそなどのレシピを考案。ヴィレッジと連携して活動しているグラフィックデザイナーの應家洋子さん(50)が、新商品PRのため5種類の料理に絞り込んだレシピのパンフレットを制作した。

 堀理事長は「若竹をめぐる竹林荒廃など社会的な背景に共感してもらい、簡単な料理法を分かりやすく広めていきたい」と語る。食感の良さや柔らかさを追求し、加工法に改良を加え来春、500~600本の若竹を収穫してレシピ付きのポイ竹商品を発売する予定だ。

 「ポイ竹」をヴィレッジのブランド商品にすることを目指す西山さんは言う。「役に立たないと思われていた若竹が、里山保全に加え、農家の若干の収入や雇用にもつながる。竹林は川崎北部で古くから里山の文化を象徴する存在。ポイ竹を各地の市民との交流を深めるきっかけにしたい」


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