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横浜市、土地取得で不当高額購入か 港北区の小学校用地

政治行政 神奈川新聞  2018年10月19日 02:00

新しい小学校の建設用地。高圧電線が上空を通り、後背地では大規模マンション開発が進む=9日、横浜市港北区
新しい小学校の建設用地。高圧電線が上空を通り、後背地では大規模マンション開発が進む=9日、横浜市港北区

市民団体住民監査請求も

 横浜市が3月に40億5650万円で取得した小学校用地(約1万平方メートル、同市港北区箕輪町2丁目)について、不当に高額で購入した可能性があると、市民団体が指摘している。専門家は「土地の取得交渉を容易に進めるため、高額な価格を提示したのではないか。法に抵触する恐れもある」としており、市民団体は住民監査請求も視野に追及する方針だ。一方、市は要領に基づく適切な対応と主張している。

 小学校用地は東急東横線日吉駅から南へ徒歩10分ほどに位置し、2015年までは野村総合研究所の施設があった。この学校用地を含む一帯は再開発地区(約5万5千平方メートル)として、野村不動産が総住戸1320戸の大規模マンション開発を進めている。


小学校用地と再開発区域。市は「Aゾーン」を対象に土地価格を算定していた
小学校用地と再開発区域。市は「Aゾーン」を対象に土地価格を算定していた

 周辺では以前からマンション開発が相次ぎ、児童生徒が急増していたため、市が学校用地を探していたところ、野村不動産による大型開発が浮上。市は15年ごろから取得交渉に動き、今年3月に購入した。

 これに対し、地元住民らが今月立ち上げた市民団体「箕輪小学校用地購入価格をただす会」は「不当に高額」と訴える。

 かながわ市民オンブズマンの大川隆司弁護士は「路線価を基に計算すると、33億214万円程度が順当な価格」と指摘。市の購入価格はこれを7億5436万円ほど上回っており、大川弁護士は「地方自治法では『最少の経費で最大の効果をあげる義務』(2条14項)が定められており、これに違反する恐れがある」とする。

市「適切」と強調


 一方、市は「適切な手続き」と強調する。売買を担当した市取得処分課によると、学校用地の購入価格の決定時、この用地を含むAゾーンと呼ばれる土地(約2万平方メートル)を算定の対象(画地認定)とした。Aゾーンは幹線道路の綱島街道に面するため地価は高くなる。学校用地は街道から離れているものの割高な土地に引きずられ、学校用地だけを対象とするよりも高額で算出されたという。

 市はAゾーン全体を画地認定した理由として「市の要領に定められている手続きに従った。学校用地だけを画地認定することは手続き違反になる」と説明する。学校用地を含むAゾーンは15年まで野村総合研究所が一体的に使用していたため、要領に基づきAゾーン全体を一つの土地として画地認定したという。

 これに対し、大川弁護士は「市の要領は1962年の閣議決定を基にしているが、最優先で適用されるべきものではなく、指針の一つにすぎない」と指摘する。その根拠として62年の最高裁判決で、元の土地所有者が近くで同じような土地を取得できる程度の金額を補償する必要がある、としている点を挙げる。

 市民団体は最高裁判決や地方自治法などを根拠に「税金を無駄遣いしたとすれば許されない」と、住民監査請求も視野に入れる。

 学校用地を市に売却した野村不動産は神奈川新聞の取材に「適正な手続きにより(価格)決定したと認識している」とコメントした。

【解説】価格算定対象に食い違い

 市と市民団体の主張が真っ向から対立している要因は、価格算定の対象となる土地が異なるためだ。市民団体は、市が購入した小学校用地(約1万平方メートル)に限定するべきだったとする一方、市はこの学校用地を含むAゾーンと呼ばれる土地(約2万平方メートル)を算定対象とした。

 市民団体は「購入する土地だけを算定対象とした方が安価にもかかわらず、割高な土地を含むAゾーン全体を対象とするのはおかしい」と批判。一方で市は、市土地評価事務処理要領を根拠に譲らない。両者の食い違いの根底にあるのは、要領は必ず適用しなければならないルールなのか、という点だ。

 市は「購入価格の高い、安いは考えない。適切な手続きで適切な価格を出す」とする。そのため、価格算定時には要領をほぼ例外なく適用するという。

 市民感覚からすれば税金は余計に使うべきでなく、より安く購入できる場合、基準の適用を柔軟に解釈した方が良いと感じる。一方で、安価になるからと市職員個人の差配で購入価格の算定基準が変えられる仕組みは不正を生みかねない。

 こうした視点を加味した上で、バランスを失することなく柔軟な基準が求められる。市民団体は第三者機関による公平な判断が期待できるとして、住民監査請求を行う考えだ。その判断が注目される。


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