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認知症患者ら楽しく声合わせ 逗子に「うたごえ喫茶」

話題 神奈川新聞  2018年10月14日 10:32

 高齢化社会を迎え、認知症や介護の必要なお年寄りのさらなる増加が見込まれる中、逗子市福祉会館(同市桜山)に今秋、「うたごえ喫茶」が“オープン”した。外出先が少なく、自宅に引きこもりがちな認知症患者やお年寄りらのために、生の演奏に合わせ、楽しく、気持ち良く、大きな声で一緒に歌い合う場を用意。同じ時代に青春を過ごした仲間との出会いや、自身の健康につなげてもらいたい考えだ。

 ♪ゆうや~け、こやけ~の、赤と~ん~ぼ~…♪

 先月28日。同会館に、お年寄りら18人の歌声が響いた。

 参加者は会議室のスクリーンで歌詞を確認しつつ、クラリネットが奏でるメロディーラインに合わせ、童謡や唱歌、歌謡曲を合唱。休憩やおしゃべりをほとんどすることなく、「赤とんぼ」「月の沙漠(さばく)」「かあさんの歌」など計25曲を1時間半、歌い続けた。

 終盤にお気に入りの歌謡曲をリクエストした、市内に住むアルツハイマー型認知症の男性(83)は「歌が好きなのでとても楽しい。(リクエストが採用されて)うれしくて涙が出そうだった」と満面の笑みを浮かべた。

 「もう少し、休み休み進行する予定だったんだけどね」。そう笑うのは、クラリネットを演奏した講師役の男性(76)。うたごえ喫茶は、男性が市社会福祉協議会に提案したことがきっかけだった。

 千葉県船橋市に住んでいた3年前。うたごえ喫茶を運営する友人に誘われ、中学時代にブラスバンドでならしたクラリネットを吹いた。「歌うと気分が良くなるし、弱くなった声帯を強くもする。参加してみたら思った以上に楽しかった」。その経験を転居した逗子市でも役立てようと、市社協に掛け合った。

 市社協も6年前から、自宅に閉じこもりがちな認知症や介護を必要とする市民が外出するきっかけになるよう、健康ラジオ体操や絵画教室などのメニューを用意。うたごえ喫茶もその一つに取り入れ、今年7月から2回試行したところ、好評だった。9月から毎月第4金曜日に定期開催することを決めた。市社協職員で、社会福祉士(41)は「歌うことで口腔(こうくう)や喉の筋肉が鍛えられ、大きく息を吸うことで血流も良くなる」と歌がもたらす効果を説明する。

 発起人の男性が大切にするのは、誰でも楽しめる場づくりだ。頭に浮かべるのは、昭和の中頃に流行した歌声喫茶。「大好きだった歌を通し、青春や初恋を思い出し、おしゃべりに花を咲かせてほしい」と期待。社会福祉士は「うたごえ喫茶に限らず、回数を増やしたり、駅近くの施設に出向いたりするなど、歩いて行ける距離に、趣味や生きがいの場をつくっていきたい」と話している。

 うたごえ喫茶は午前10時からで、参加費100円。問い合わせは、同会館電話046(871)8446。


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