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客引き横行にメス 横浜駅周辺一斉摘発

社会 神奈川新聞  2016年11月03日 02:00

ビニール傘片手に交差点で通行人に声を掛ける居酒屋の客引きたち=横浜市西区
ビニール傘片手に交差点で通行人に声を掛ける居酒屋の客引きたち=横浜市西区

 しつこく客引き行為を繰り返したとして、県警生活保安課と戸部署は2日、県迷惑行為防止条例違反の疑いで、横浜市保土ケ区のアルバイトの男(25)ら男女10人を逮捕した。

 男の逮捕容疑は、9月21日午後7時10分ごろ、同市西区南幸1丁目の歩道で通行中の私服警察官を客引きした、としている。

 同課によると、男は「客引きしたのは間違いないが、よく覚えていない」などと供述、容疑を認めている。残る9人も容疑を認めている。

 同課によると、10人は特定の居酒屋の従業員ではなく、複数の居酒屋を紹介する「フリー」の客引き。勧誘した客が店で使ったお金の15~20%を歩合で受け取っていた。

 風俗店と違い、居酒屋の場合、通常の客引き行為は規制されていないが、つきまとうなどのしつこい客引き行為をした場合は同条例違反となる。

 県警は約60人体制で同条例を適用した一斉摘発を初めて行った。

10人逮捕容疑で県警


 県警は、横浜駅周辺でしつこい客引きの一斉摘発に乗り出した。メニュー片手に次々と声を掛け、執拗(しつよう)に居酒屋に誘う手口とその実態は-。

 「10店舗を案内できます。何系がいいか言ってください」。午後8時すぎ。同駅みなみ西口からほど近い橋のたもとには、20代とみられるラフな格好の客引きの姿が15人以上確認できた。

 会社員風の男女2人組に声を掛けたジーンズ姿の若者は、料理2品を付ける条件で飲み放題1800円を提示。「いつもなら2千円ですけど、いいですよ」と売り込み、話がまとまると店と電話でやりとりした上で条件を記したメモを2人に渡し、前金千円を受け取った。

「歩合制」フリーで100万円も


 捜査関係者などによると、県内ではこれまで風俗店の客引きが多かったが、4、5年ほど前から居酒屋の客引きが増加。特に最近は店の従業員ではなく、請負会社を介した「フリー」の客引きが目立つ。捜査関係者は「摘発された時に店まで罰せられるのを避けるためだろう」と指摘する。

 フリーを使うのは主に知名度が低く、立地が悪いなど競争力の低い店という。収入は歩合制が多く、ツイッターなどで「完全歩合」とうたって募集。報酬は会社によって異なるが、「勧誘した客の飲食代金の13~20%」との書き込みも。複数の店を紹介し、中には1カ月で100万円近く稼ぐ客引きもいるという。ある客引きは「年1千万円稼ぐ者もいる」と明かす。

 それだけに客引き同士の競争は過熱し、他店を予約している客にうそを言い、強引に勧誘するケースも。横浜駅周辺では客引きが多く集まる場所が3カ所あり、通行人から「しつこい」「集団でいて怖い」などの苦情や通報が県警に寄せられている。

 県内有数の繁華街がある川崎市は地元商店街などからの苦情を踏まえ、客引き行為を規制する条例を制定。一方で横浜市は制定していない。

 県警は私服警察官がしつこく客引きされた場合に現行犯逮捕するなど取り締まってきたが、最近は客引き側も「警察官らしい男の2人組には声を掛けない」などと警戒しているという。客引きの一人は勧誘時に「警察とかではないですよね?」と確かめていた。

 県警はフリーの客引きの増加が治安の悪化につながっていると判断。捜査幹部は「逮捕状を取って居酒屋の客引きの一斉摘発に初めて踏み切った。安心して歩ける街にしたい」と話している。


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