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水信 加藤信明社長
トップに聞く 特別な商品届けたい

経済 神奈川新聞  2018年10月13日 11:02

水信・加藤信明社長
水信・加藤信明社長

 1915年に台湾バナナの加工卸問屋として横浜で創業した水信(みずのぶ)(横浜市西区)。果物・野菜の仲卸のほか小売り・飲食など幅広い業種で県内の「食」を支えてきた。100年以上続く歴史の中で時代に合わせた事業を展開してきたが、こだわり続けてきたのは「質の良い商品を提供する」という信念。加藤信明社長に今後の展開を聞いた。

 -今年の上半期を振り返って。

 「猛暑の影響で野菜は価格が高騰したが、果物の供給量に問題はなかった。ただ出荷が前倒しになり、果実が玉伸びしないなどの影響は出た。ステーキハウス『知喜多(ちきた)』など飲食業はおおむね好調。新しい試みとして、4月に『フルーツパーラーラボ』(横浜市中区)、6月には『サラダラボ』(小田原市)をオープンした。それぞれ面白い商品づくりに挑戦している」

 -店づくりや人材育成についてどう考えているか。

 「一時期10数店舗あった小売店は現在5店舗。ユニホーム、ロゴデザインなどはJR九州のクルーズトレイン『ななつ星』などのデザインを手掛けたことで有名な水戸岡鋭治さんにお願いしている。セレクトショップのように全国から集めた高品質の商品だからこそ、それを並べる舞台も重要。従業員の意識や振る舞いも変わる。付加価値の高い物を提供したい」

 「また現在、社員全員に野菜ソムリエの資格を取得させようとしている。仲卸、小売り、飲食、本社総務など異なる業種でも、共通意識を持って仕事に取り組める効果は大きい」

 -若い女性にフルーツパーラーラボが人気だ。

 「果物自体の消費量は減っており、しかも主な消費者は高齢層だという認識があった。しかしフルーツパーラーには若い世代の方々が来店し、高価格帯のパフェを食べてくれている。カラフルなフルーツが『インスタ映え』することは確かで、支持されているのはうれしいことだが、見た目の良さだけでは長続きしない。厳選された素材こそがわれわれの価値であり、その芯がぶれてはいけない」

 -今後の商品展開は。

 「岩手県釜石市には、いぶしてつくる『甲子柿(かっしがき)』というカキがある。トマトのような鮮やかな赤い色で、ゼリーのような食感。また長崎県には、収穫後に自然の風に当てる『吊(つ)るしタマネギ』という糖度の高いタマネギがあり、いずれもその地域だけで流通している。日本にはまだまだわれわれの知らないおいしい野菜や果物がある。いずれも大量に生産されているものではないが、ニーズはある。市場法改正で流通の形も変化するだろうし、特別なものを提供していきたい」

 -神奈川の野菜・果物への思いは。

 「今年から箱根湿生花園(箱根町)が通年のイチゴ栽培に挑戦しており、収穫があったときにはフルーツパーラーやサラダラボでそのイチゴを使っている。今後は、三浦半島や県西部など県内からの仕入販売に注力したい。地の利を生かした鮮度の良い野菜・果物や、その地域でしか栽培していない伝統野菜、希少品種を農家から直接仕入れていく」

かとう・のぶあき 1984年大学卒業後、湘南観光開発での勤務を経て、87年水信入社。2011年より現職。横浜市生まれ、57歳。


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