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西日本豪雨の教訓 「想定内」も逃げ遅れ

社会 神奈川新聞  2018年09月28日 09:39

2階まで水が入り込み、泥まみれとなった自宅を見つめる男性=8月、岡山県倉敷市真備町
2階まで水が入り込み、泥まみれとなった自宅を見つめる男性=8月、岡山県倉敷市真備町

 220人以上が死亡し、「平成最悪」となった西日本豪雨では、ハザードマップで水害や土砂災害の危険性が示されていた地域で洪水や土石流が多発した。逃げ遅れた住民が相次いで巻き込まれ、リスク情報の提供と活用の在り方が問われた。教訓を生かすための模索がさまざまな場で始まっている。

 「ハザードマップは見ていなかった。見ていたとしても、これほどの被害は想像できず、行動は変わらなかったと思う」

 河川の氾濫で大規模な浸水被害が起きた岡山県倉敷市真備町地区の女性会社員(38)は省みる。深夜になってから車に荷物を積み込み、あふれそうな川の土手沿いを走って近隣のスーパーへ避難。不安な一夜を明かし、「命だけは守れてよかった」とかみしめる。2階まで土砂にまみれた自宅は畳がめくれ上がり、流れ込んだ水に家財が浮いていた。

 地区の約3割を占めた浸水面積はハザードマップの予測とほぼ重なり、5メートルを超えた浸水の深さも想定の範囲内。しかし、屋外に逃げるタイミングを逸して2階へと「垂直避難」した住民が命を奪われた。女性宅の近くでも、自宅の2階にとどまったとみられる高齢の男性が犠牲になったという。

 民生委員を務める60代の男性は実感を込める。「命が第一。とにかく逃げるしかない」

 土砂災害警戒区域の指定エリアが土石流に襲われた広島県熊野町の住宅団地ででは、緊急情報を確実に伝え、住民の避難行動に結び付けることの難しさが浮き彫りになった。60代の女性は証言する。「町の車が巡回しながら避難を呼び掛けていたようだが、雨の音に遮られ、よく聞こえなかった」

 同町の状況を調べた日本気象協会の専任主任技師は「跡形もなく流失した家が多く、2階への避難では助からなかった」と指摘。「長い時間降り続いたことで雨量が多くなったが、短時間の猛烈な雨ではなかった。そのため人々が危機感を感じにくかった可能性がある」と逃げ遅れの背景を分析する。


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