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時代の正体〈632〉無関心が生む偏狭な理解 沖縄県知事選を問う(上)フリーライター・屋良朝博さん

時代の正体 神奈川新聞  2018年09月25日 10:51

屋良朝博さん
屋良朝博さん

【時代の正体取材班=田崎 基】沖縄の基地問題を調査・研究してきた「新外交イニシアティブ」(ND)が沖縄県知事選(13日告示、30日投開票)に合わせ、「沖縄と米軍基地-県知事選で問われるべきは何か-」と題するシンポジウムを開催した。辺野古新基地問題を巡る今後の展開や解決策が見いだせない沖縄の現状、日米地位協定、米軍基地が地域にもたらす汚染などが語られた。スピーチに立った三氏の発言を詳報する。初回はフリーライターの屋良朝博さん。 

     ◇

 元防衛相の石破茂氏が地方へのメッセージとして「沖縄の皆さんへ」と題する7分ほどの動画を自民党総裁選に向けて投稿していた。その石破氏は、沖縄に基地が集中した理由についてこう言っていた。1950年代に本土で激しい反基地闘争があり、それが原因で沖縄に基地が集中した、と。当時、海兵隊は岐阜や山梨、静岡県に分散していた。ところが、反基地闘争が広がることを恐れた日本政府と米政府が海兵隊を沖縄へ移転させた。これは何を意味しているのか。

 つまり、沖縄に基地が集中している理由として政府が繰り返し説明している「抑止力」「地理的優位性」「安全保障上の理由」といったこれら全てが、うそだということだ。

 この事実をベースに沖縄の基地問題を考えることができれば、基地を取り巻く背景は変わっていく可能性がある。

無知


 日本で安全保障論が深く掘り下げられることはなかなかない。あまり語られることがないにも関わらず、「沖縄の基地は必要だ」という非常にざっくりとしたイメージの中で重要なことが決められている。


屋良朝博さん
屋良朝博さん

 いま、30日投開票の県知事選には、自民党が推す前宜野湾市長の佐喜真淳氏と、野党が推す前衆院議員の玉城デニー氏の二人が主な立候補者として届け出をしている。

 メディアも有権者も、辺野古新基地建設を巡り今後の行方がどうなるのか、県知事選の結果によって大きく左右されるだろうと思い注目している。

 だが、佐喜真氏が示した10の政策のうち基地問題については9番目になっている。玉城氏の15政策でも基地問題は14番目だ。

 基地問題の優先順位はそう高くない。佐喜真氏の優先順位1番目は「子育て」。次いで福祉、医療と続く。玉城氏は人材育成。そして社会資本整備へと続いていく。

 沖縄でも他県と同じように生活密着型の政策を前面に出す。これが実態だ。

 私はいま56歳。実家は本島の中央に位置する北谷町で基地に囲まれて育った。

 本土復帰のときまで、基地の中でも僕らはフリーパスだった。放課後には基地の中にあるリトルリーグ仕様の整った球場でキャッチボールをして遊んだ。クリスマスには教会に行きお菓子をもらい、ハロウィーンの日には米国人の家を回り「トリック・オア・トリート」と言ってクッキーやらキャンディーやらをもらっていた。

 大人になっても、よほど社会的問題として米軍基地を捉えていなければ賛否を問われても何を言っているのか分からないだろう。

 2017年度に普天間飛行場の近くにある沖縄国際大学で非常勤講師として、週に1度講義をしていた。100人の学生を相手にアンケートをしてみた。

 その結果、沖縄に基地は「必要」が49%。「不必要」が5%。「分からない」が46%だった。

 理由は分からないが「必要」と答える学生は年々増えている。ただ石破氏が言ったような基地の歴史や情報を授業で提供していくと、この数字は逆転していく。

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