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災害時、 ペットと同行避難を  小田原のNPOが絵本に

社会 神奈川新聞  2018年09月16日 13:16

小田原市立小学校などに寄贈された絵本「君とずっと一緒にいたいから」
小田原市立小学校などに寄贈された絵本「君とずっと一緒にいたいから」

 大規模災害が起きた際に環境省が原則として飼い主に呼び掛けている、ペットとの「同行避難」。小田原市内のNPO法人が、東日本大震災での事例を基に、同行避難のための準備の大切さを呼び掛ける絵本を出版した。「将来、飼い主になる子どもたちにも、ペットの命に対する責任を知ってほしい」と企画し、市内の公立幼稚園や小学校に寄贈した。今後、県内の小学校にも配る予定で、絵本を通して「ペット防災」への意識を広めたい考えだ。 

 絵本「君とずっと一緒にいたいから」の主人公は、一匹の犬。震災に襲われ、大好きな飼い主の少年を捜しに家を飛び出して迷子になり、名札なども付けていなかったため、誰にも引き取られずに独りぼっちになってしまうというストーリーだ。最後に主人公を通し、「僕に名札や(マイクロ)チップを付けてください」などと呼び掛ける。

 物語と、色鉛筆で描かれた柔らかい雰囲気のイラストを担当したのは、NPO法人「防災総合ペット育成協会」の中川都子理事長(44)。震災発生後、仙台市内で被災地支援に汗を流したボランティアから聞き取った話を基にした。

 中川理事長や夫で協会広報・顧問の裕介さん(44)によると、震災で死んだ犬は確認されているだけで約3500匹。登録制度がない猫の実態は分かっていない。今年7月の西日本豪雨でも、ペットを自宅に置いたまま避難した例が多かった。

 ペットと一緒に安心して避難できる環境をつくりたいと協会を設立した中川理事長は「子どもたちに、ペットの命に対する責任や、その命を守るための準備の大切さを伝えたい」との思いを絵本に託した。

 出版資金はクラウドファンディングを活用。2市8町を中心に輪が広がり、千冊の出版に結び付いた。協会は売り上げの一部を次回の増刷に充てる考えだ。

 自身も幼少期から何度も飼い犬に救われてきたという中川理事長は「避難所には動物が苦手だったり、嫌いだったりする人もいるのは理解している」とした上で、「それでも、避難所に行かれずに飼い主がペットと危険な自宅にとどまったり、逆に自宅に置いていかれたペットが飼い主と再会できずに殺処分されたりする悲劇を少しでもなくしたい」と訴えている。


小田原市教育委員会の栢沼行雄教育長(右)に絵本を手渡す中川理事長(右から2人目)ら関係者=11日、市役所
小田原市教育委員会の栢沼行雄教育長(右)に絵本を手渡す中川理事長(右から2人目)ら関係者=11日、市役所

 絵本はB5判16ページで、1200円(税別)。協会は11月18日午後1時から、出版を記念したコンサートを、開成町福祉会館(同町吉田島)で開く。入場無料。問い合わせは協会電話0465(39)1313。


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