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「増加防止へ対策を」 箱根山地でニホンジカ食害被害調査

社会 神奈川新聞  2018年09月10日 12:15

小田原市久野で目撃されたシカの親子(小田原山盛の会提供)
小田原市久野で目撃されたシカの親子(小田原山盛の会提供)

 森林の保全活動に取り組むNPO法人「小田原山盛の会」(兵頭昌雄理事長)は、箱根山地でのニホンジカによる食害被害実態をまとめた。丹沢や伊豆方面から移動したとみられるシカの定着が懸念される同山地を、2015年から3年弱かけて踏査。その結果、生息を裏付ける痕跡が集中する場所が40カ所以上確認された。

 同法人は2015年4月から17年11月まで、箱根町と小田原、南足柄の両市にまたがる箱根外輪山東北部のスギ・ヒノキの植林地や仙石原などで調査を実施。メンバーが過度の採食による植物の矮小(わいしょう)化、枝折り、樹枝はぎなど、シカの生息を物語る痕跡を現地で確認した。

 痕跡が集中して分布していたエリアをシカの「ホットスポット」と推定して地図上に表示したところ、餌となるアオキやササなどの植物が生い茂る林道沿いや土捨て場、間伐地などで大小四十数カ所が見られた。

 同法人は報告書の中で、「現在、箱根山地はシカの生息密度は低いと言われているにもかかわらず、ホットスポットが多く存在していることが分かった」と説明。「爆発的に増えた丹沢の二の舞いにならないよう、適切な対策が必要」と指摘している。

 県自然環境保全課は「箱根でのシカの食害の全体像が分かる調査としては初めてであり、貴重な結果」と評価。今後の対策について「ホットスポットを面的に広げないために、頭数管理などを強化したい」としている。


シカの食害分布
シカの食害分布

 県は、2018年度のニホンジカ管理事業実施計画を策定した。シカの食害からの植生回復が一部にとどまり、農業被害が1993年度以降で過去最悪になっていることから、前年度と同程度の2550頭を捕獲の目標数に据えた。

 内訳は、丹沢山地の中心部に広がる保護管理区域で2220頭、周辺部の定着防止(旧分布拡大防止)区域で330頭。

 県は保護管理区域のハンターが行きやすい林道近辺などで、捕獲数の配分を見直した。実績が近年低迷している県猟友会など民間への委託分を減らし、2017年度に増員した管理捕獲に専従的に携わるハンター「ワイルドライフレンジャー」6人による目標数を増やした。

 第4次管理計画の初年度となった17年度の捕獲達成率は、保護管理区域が目標の2274頭に対して1852頭で81%、定着防止区域が310頭に対して247頭で80%だった。

 一方で、シカによる農業被害額は前年度のほぼ倍の約3700万円に上り、1993年度以降の集計で最高額になった。

 丹沢では管理捕獲を強化してきた結果、生息数の増加傾向に歯止めが掛かったが、周辺の箱根や小仏(相模原市緑区)の両山地で定着が近年見られ、被害拡大が懸念されている。

 そこで県は2017年度、管理捕獲を箱根、南足柄の2市町で本格実施、目標の10頭を達成した。18年度は目標を20頭に引き上げ、定着を防ぐ。


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