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沖縄考 記者の視点=報道部・田中大樹
時代の正体〈630〉翁長氏死去 「遺言」かみ締めたい

時代の正体 神奈川新聞  2018年08月29日 11:09

沖縄全戦没者追悼式で、献花に向かう安倍首相(手前左)を見つめる沖縄県の翁長知事(同右)=6月23日、沖縄県糸満市
沖縄全戦没者追悼式で、献花に向かう安倍首相(手前左)を見つめる沖縄県の翁長知事(同右)=6月23日、沖縄県糸満市

沖縄全戦没者追悼式で、献花に向かう安倍首相(手前左)を見つめる沖縄県の翁長知事(同右)=6月23日、沖縄県糸満市
沖縄全戦没者追悼式で、献花に向かう安倍首相(手前左)を見つめる沖縄県の翁長知事(同右)=6月23日、沖縄県糸満市

 紙面制作が慌ただしくなる時間帯だった。8日夕、デスク席でパソコンのモニターをにらみ、原稿を直していると、一報が入った。

 〈沖縄・翁長雄志知事が意識混濁の状態〉

 予期せぬ急展開。鼓動が早まる。次いで、ネットニュースで速報が流れた。

 〈翁長知事、死去〉

 憤死-。

 最初によぎった言葉だった。天井を仰ぎ、頭を抱え、そして思った。

 日本政府に、本土の無理解、無視に殺された-。

 沖縄タイムスでの駆け出し時代、翁長氏に掛けられた言葉を思い起こす。政局と情勢に傾く県知事選報道。だからこそ立ち止まり、そしてかみ締める。

 「沖縄をしっかり見てください。特に歴史を知ってください。この国の姿が、これまでとは違って見えるはずですから」

     ■■■

 沖縄に息づく「不屈」の精神を体現した人生だった。

 1950年、翁長氏は保守系の政治家一家に生まれた。父は沖縄戦後、激戦地に散乱した戦没者の遺骨集めに奔走し、慰霊塔の建立に尽力した。米国統治下、土地収用を巡り住民の権利を守る「島ぐるみ闘争」の超党派代表団に名を連ね、沖縄の窮状を全国に訴えた。

 翁長氏はその血を受け継ぎ、県民が心を一つにして基地問題と向き合うべきだと説いた。その原点は小学生時代に垣間見える。

 父の選挙時、教師が黒板に書かれた父の名前に「×」、相手候補の名前に「◎」と記した。その姿を見て、子ども心にも県民同士がいがみ合う現実に心を痛めた。

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