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【甲子園】横浜、慶応に新時代の予感 名門継いだ3年目監督

高校野球 神奈川新聞  2018年08月20日 02:00

【写真左】初戦で快勝し、主将齊藤、遊撃山﨑を笑顔で迎える横浜・平田監督【写真右】中越との初戦で1番宮尾がサヨナラ打を放ち、喜びを爆発させる慶応ナイン
【写真左】初戦で快勝し、主将齊藤、遊撃山﨑を笑顔で迎える横浜・平田監督【写真右】中越との初戦で1番宮尾がサヨナラ打を放ち、喜びを爆発させる慶応ナイン

 第100回全国高校野球選手権大会に神奈川からは2校が出場したが、横浜は3回戦、慶応は2回戦で敗退した。節目の記念大会で、神奈川勢にとって8度目の深紅の大優勝旗には届かなかったが、ともに就任3年目の指揮官がそれぞれ最高成績を収め、神奈川高校野球の新時代の幕開けを感じさせる夏となった。

「1期生」守り勝つ体現 平田監督16強導く


 圧倒的な力で創部初の神奈川3連覇を成し遂げた横浜だったが、甲子園では大会ナンバーワン投手とされる右腕吉田の金足農(秋田)に逆転負け。しかし、平田徹監督(35)就任後、初の全国16強入りを果たし「選手の才能を伸ばして大きく育てる」野球が一定の力を示した。

 「選手を育てることが勝つことに結び付く」が持論の平田監督。過去2年の甲子園では結果が伴わなかったものの、入学時から育成してきた「平田野球の1期生」最後の夏は違った。

 初戦で愛知産大三河(東愛知)に7-0の完勝。選手が思い切りよく伸び伸びプレーすると同時に、掲げてきた「守り勝つ野球」を体現すると、真骨頂は前回王者・花咲徳栄(北埼玉)との2回戦だった。


初戦で快勝し、主将齊藤(左)、遊撃山﨑(右)を笑顔で迎える横浜・平田監督。選手の才能を大きく伸ばす指導で3年目にして全国16強に名を連ねた=9日、甲子園
初戦で快勝し、主将齊藤(左)、遊撃山﨑(右)を笑顔で迎える横浜・平田監督。選手の才能を大きく伸ばす指導で3年目にして全国16強に名を連ねた=9日、甲子園

 プロ注目右腕・野村への対策で、監督は「相手と自分の特徴をよくつかんで考えなさい」と選手一人一人の感性に委ねた。四回に内海、角田の連打などで一挙6得点して野村をKO。各選手が自分の置かれた状況や、相手の配球を研究し尽くした結果だった。

 八回に逆転されて敗れた金足農戦は12安打で4得点。14三振を喫して11残塁と、あと一押しを欠いたことは悔やまれる。それでも、不調だった4番万波が2安打を放ち、エース板川は終盤まで好投。手が届きそうだった勝利を逃し、8強入りできなかった悔しさを、それぞれ次の舞台への糧としてほしい。

 新チームには豊富な投手陣がそろう。花咲徳栄戦で先発し、七回途中4失点の左腕及川、右腕黒須の両2年生に加え、今夏はサポートメンバーだった松本、木下の1年生も即戦力だ。5番内海は甲子園で打率4割超と急成長し、名門の新リーダーとして期待される。

エンジョイさらに進化 森林監督 聖地1勝


 春夏連続の甲子園出場を果たした北神奈川代表の慶応は、中越(新潟)との1回戦で1番宮尾が劇的なサヨナラ打。初戦敗退に終わったセンバツの借りを返した。10年ぶりの聖地での1勝は、森林貴彦監督(45)の甲子園初勝利となった。

 森林監督は、OBの学生コーチたちに指導を一任し、選手とコーチが共に試行錯誤する中で考える力を培わせ、伝統の「エンジョイ・ベースボール」をさらに進化させた。ミスには寛容で、失敗を恐れない大胆なプレーも引き出した。


中越との初戦で1番宮尾がサヨナラ打を放ち、喜びを爆発させる慶応ナイン。森林監督就任後、甲子園で初めて1勝を手にした=5日、甲子園
中越との初戦で1番宮尾がサヨナラ打を放ち、喜びを爆発させる慶応ナイン。森林監督就任後、甲子園で初めて1勝を手にした=5日、甲子園

 しかし、2回戦の高知商戦では二回に暴投、捕逸、3失策とミスの連鎖が止まらず、7点を失った。初回の攻撃では死球を挟んで5連打を放ちながら、二走が本塁突入で2度も憤死。全国の舞台で勝ち上がるには、より洗練されたプレーが必要となるだろう。

 北神奈川で東海大相模との準決勝、桐光学園との決勝、甲子園の初戦と勝利の原動力となった生井-渡部の左腕リレーは見事だった。2回戦ではエース生井が12失点を喫したが、背番号10の渡部が直球と緩い変化球で五回以降を無失点、6奪三振で甲子園を沸かせた。

 2投手を支え続けた2年生捕手善波は、この経験を生かし、秋以降はチームのけん引役としての役割が求められる。聖地で1安打に終わった4番廣瀬と共に陸の王者の顔として、再び聖地に戻ってきてほしい。

 史上最多56校が出場した100回目の夏。4強が出そろい、大会はいよいよ大詰めだ。甲子園という極限の非日常の空間で、いつも以上の力を引き出して「9人野球」で快進撃を続ける金足農。優勝候補筆頭の重圧を受けながら、聖地でもいつも通りに力を発揮して勝ち上がる大阪桐蔭。そこに神奈川2校の勇姿が見られないことは残念だ。

 エース松坂大輔(中日)らで春夏連覇を成し遂げて以来、20年ぶりの夏の日本一を狙った横浜は10年ぶりのベスト8を目前に散った。第2回大会以来、102年ぶりの頂点を目指した慶応は、普段通りのプレーをさせてもらえなかった。

 いずれも3年前に偉大な前任者から名門チームを引き継いだ横浜の平田監督と慶応の森林監督。選手の自主性を重視する理念や育成方法などに共通するところは多く、時代に即した新しい指導で、甲子園に確かな足跡を残したことは間違いない。

 ただ、甲子園で「いつも通り」を貫きつつ、「いつも以上」をどう引き出すか。200校近くがひしめく激戦区神奈川にとっての新たな宿題も課された。

 秋の新チーム、そして101回目の夏へ、さらに切磋琢磨(せっさたくま)して、進化した神奈川の高校野球を見せてほしい。


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