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綾瀬・市政課題 市長任期折り返し(下)期待と不安が交錯 スマートIC

政治行政 神奈川新聞  2018年08月18日 11:12

綾瀬市内を通る東名高速
綾瀬市内を通る東名高速

 「とにかくこれを街の発展の取っ掛かりにしてもらわなくては」。綾瀬市小園のパート男性(65)は強く期待する。

 市が「起爆剤」と例えるのが2020年度上半期の開通を目指し、小園地区で整備中の東名高速道路綾瀬スマートインターチェンジ(IC)。市の用地確保が遅れ、当初予定の18年3月から時期がずれ込んでいる。「駅も何もない」などと自虐的な声すら上がる街の悲願でもある。

 自動料金収受システム(ETC)搭載車限定で横浜町田ICと厚木ICとのほぼ中間点に立地。市域のほぼ全域が5キロ圏内に収まり、東名に乗るのに所要時間が短縮される。

 県内19市で唯一、鉄道駅がない綾瀬。市はこの“玄関口”としての機能を最大限に生かしたい考えだ。

 ハード面では近隣地への(1)東名高速綾瀬バス停徒歩圏内への計約40台分の駐車場(2)羽田空港行きリムジンバスなどの乗り換え拠点(3)「道の駅」-などの整備を構想する。

 道の駅では交通情報のほか、市が打ち出してきた「ロケのまち」としての実績を発信すると同時に、農畜産物を販売する計画だ。

 古塩政由市長は「首都圏では有数の好立地施設になる」と豪語。誘客施設として「1人当たりの単価を3千、4千円にしていく工夫が必要」とする。

 同市落合南の主婦(34)は「子どもを高速のバス停に送るけど、近くに駐車場がなかった。完成すれば便利になる」と話す。

 スマートIC開通を見据え、企業誘致の受け皿づくりとして市が進める落合・吉岡地区の土地区画整理事業の行方にも関心が集まる。

 整備地区の面積は約14・5ヘクタールだが、大半が法律に基づき農業推進を目的に保全すべき「農振農用地」になっているのだ。

 市は「稼ぐ農業」の推進を掲げ、鮮度が売りのレタス、トウモロコシといった朝採り野菜のPRに注力してきた。6月には朝採りトウモロコシをブランドとして認定したが、区画整理事業の想定区域ではこうした作物が多く栽培されている。

 現在、事業施行に向けた組合組織をつくるため、地権者らとの合意形成を目指している段階。農地の土づくりには一般的に数年かかるとされ、代替地の確保などが課題になっている。

 市は「農業を守りたい」という考えを鮮明にする反面、農地転用を伴う企業誘致を進める。背景には、避けては通れない人口減少がある。将来見込まれる市税収入の減少を、企業誘致による固定資産税や法人市民税の収入増で賄いたいとの考えがあるためだ。

 また、この地域で企業が進出することに、防災面からも不安の声が上がっている。近くの低地では大雨などで浸水被害がたびたび発生しているだけに、40代の住民女性は「立地施設から雨水排水が川に流れればさらに被害が起きやすくなるのでは」と懸念する。

 スマートIC開通を「エポックメーキング」と言い表し、それを核とした街づくりを構想する古塩市長。今後のかじ取りに厳しい視線が注がれている。


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