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連携の輪、送迎ボランティア快諾
支え合いの現場から 地域包括ケアの行方 担い手の住民たち(2)

社会 神奈川新聞  2018年08月13日 02:00

高齢者送迎を前にルート確認を行う運転ボランティアや地域ケアプラザ幹部、生活支援コーディネーター
高齢者送迎を前にルート確認を行う運転ボランティアや地域ケアプラザ幹部、生活支援コーディネーター

 「バスの便が悪くてなかなか外出できない」「車の運転も心配になってきた」「食事会には民生委員や知人の車に乗せてもらってきていたが、運転を止める人も増えてきた」…。

 横浜市泉区の上飯田地区社会福祉協議会が3月、いずみ中央地域ケアプラザで開いた高齢者食事会。集まった高齢者からは、移動についての課題が次々語られた。

 協議会の内藤義幸会長(78)は、上飯田地区移送支援サービス実行委員会の福祉車両による送迎について、「送迎があるので食事会に来られるという高齢者もいる。こうした取り組みが一般的になれば本当にありがたい」と語った。

 横浜市では2016年度から区(区社会福祉協議会)と地域包括支援センター(地域ケアプラザなど)に生活支援コーディネーターが配置され、あらためて各エリア内の高齢者の困り事などの把握に取り組んだ。

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 泉区で浮かび上がったのは移動の問題だった。バス路線から離れた地域も多く、バス停まで歩けない。サロンや敬老会など地域イベントの会場にも歩いていけない…。そうした高齢者が増えていた。

 泉区社会福祉協議会でも、単独でタクシーや公共交通機関の利用が難しい人を対象に通院などでの送迎サービスを行っているが、高齢者は要介護認定を受けている人が対象。移動の問題にどう対応するか、泉区全体、各地域ケアプラザごとに、生活支援コーディネーターが中心となって検討が始まった。

 上飯田地域ケアプラザエリアでも同年10月、生活支援コーディネーター露口能秀さん(48)らを中心に取り組みがスタート。車両は同プラザを運営する社会福祉法人公正会のデイサービス車両を使えることになった。システムについては県内の先進的取り組みの視察などを行い検討し、17年4月には地域住民(民生委員)、運転ボランティア、上飯田地域ケアプラザによる上飯田地区移送支援サービス実行委員会も発足した。

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 その過程で、最大のポイントとなったのがドライバーだった。無償ボランティアに頼ることにしたが、事故のリスクもあり、難しい役割だ。各地域ケアプラザの掲示板などでボランティアを募集したが、決め手となったのはコーディネーターの連携と直接の声掛けだった。

 最初のボランティア2人、深澤一さん(71)と門間一郎さん(68)は、区社協の送迎サービスのボランティアだった。区社協の生活支援コーディネーター(当時)の阿部嘉之さん(42)が、運転に定評のある2人を見込んで頼んだところ、快く引き受けてくれた。

 そして3人目のドライバー大塚勇さん(71)は、いずみ中央地域ケアプラザを事務局とする「男たちの活動グループducks(ダックス)」の主催事業に参加していたところを、露口さんが声を掛けた。いずみ中央地域ケアプラザ生活支援コーディネーター、加藤達也さん(32)と、「参加者にドライバーのことを話してみよう」と相談したのが奏功した。

 大塚さんは都内で福祉有償運送のボランティアをした経験があった。「地区の掲示板で募集していたのは知っていましたが、露口さんに声を掛けられ、やってみようと決めました」

 露口さんは3人のボランティアに感謝すると同時に、「区、地域ケアプラザの生活支援コーディネーターの連携、協力体制が整っていなければ、送迎はできなかった」と振り返った。

 ◆横浜市泉区の地域包括支援センター 横浜市泉区の人口は2011年から減少を始め、今年1月1日現在は15万2984人で高齢化率は28.3%。市内区別では栄、旭、金沢区に次いで4番目に高齢化が進んでいる。地域包括支援センター(業務委託法人は全て社会福祉法人)は、全て地域ケアプラザで、上飯田地域ケアプラザ(公正会)、下和泉地域ケアプラザ(横浜市社会福祉協議会)、踊場地域ケアプラザ(神奈川県匡済会)、いずみ中央地域ケアプラザ(横浜市福祉サービス協会)、新橋地域ケアプラザ(開く会)、いずみ野地域ケアプラザ(横浜市福祉サービス協会)の6カ所。


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