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【K-Person】中村恩恵さん
「空気」を舞踊で表現 まだ見ぬ世界に挑む

K-Person 神奈川新聞  2018年08月12日 11:06

中村恩恵さん
中村恩恵さん

中村恩恵さん

 横浜みなとみらいホール(横浜市西区)で開催されるコンサート「音楽と舞踊の小品集」に出演する。

 横浜美術館(同)で開催中の展覧会「モネ それからの100年」と連動した企画で、画家クロード・モネと同時代に生まれた印象派の音楽を、ピアノ、バイオリン、チェロが奏でる。印象派の特徴ともいわれる「水、空気、光」をテーマにした3部構成で、第1、第3部は演奏のみ。第2部で生演奏と舞踊がコラボレーションする異色のコンサートだ。


チラシ
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 「高校生の頃、ドビュッシーの音楽に合わせて踊る『波光(はこう)』というダンス作品を創りました。この作品を創作することで、世界に出て舞踊を学びたいと感じるようになったんです」と、中村にとって印象派の音楽は特別な存在だ。

 画家だった祖父の影響で幼い頃から画集に目を通し、モネの作品はお気に入りだった。「小さい時は絵の知識や歴史的背景は知らないので、ほとんど直感で好きなものを選びますよね。今回のコンサートでも、直感的で、みずみずしい感覚を大切にしたい」と語る。

 第2部は「空気」がテーマ。「空気ってすごく抽象的で難しい」と悩みつつも、「空気があるからこそ、光は伝わるし、人と人の間や、自分の体と心の間にも空気の層が存在するような気がします。その距離感や緊張感を考えていきながら、具体的な音楽や振り付けを考えたい」と語る。

 浮かび上がった「緊張感」をキーワードに、出演する演奏家らと、披露する曲を選んだ。スクリャービンの「12のピアノ練習曲 作品8より第11番」、ラベルの「ツィガーヌ」、メシアンの「時の終わりのための四重奏曲より第5楽章“イエスの永遠性の賛美”」など、計5曲に合わせて、世界的に活躍するダンサーの首藤康之、折原美樹ら計6人が踊る。

 「音楽、舞踊、美術、それぞれの分野が、印象派のテーマの水、空気、光のように交じりあって感動を生むことができればうれしいです」と意気込む。

 今年の春、紫綬褒章を受章した。「私たちの取り組み(コンテンポラリーダンス)は、すぐに価値が認められるようなものではないと感じていたので、見ていてくれる人がいてうれしかった」と頬を緩ませる。

 「クラシックバレエの基礎を築いたプティパのように、新しい様式を創ることを諦めずに頑張りたいです」

なかむら・めぐみ ダンサー、振付家。1970年、横浜市生まれ。ローザンヌ国際バレエコンクールでプロフェッショナル賞を受賞後、モンテカルロバレエ団を経て、ネザーランド・ダンス・シアターに所属。ダンサーと振付家の活動を両立し、新国立劇場バレエ団、Kバレエカンパニーなど、多くのバレエ団、ダンサーに作品を提供。パリ・オペラ座をはじめ世界各地のバレエ団や学校の指導にあたる。第61回芸術選奨文部科学大臣賞、第62回横浜文化賞受賞。2018年春、紫綬褒章受章。コンサートは、30日開催。午後1時半と、同7時開演の2回公演。チケットは4千円(全席指定)など。演奏は、バイオリン・崎谷直人、チェロ・門脇大樹、ピアノ・福間洸太朗、齊藤一也。問い合わせは、横浜みなとみらいホールチケットセンター電話045(682)2000。

記者の一言
 「現代では、生き残るために必要なスキルを身に付けなさいという教育だけれど、それではとても窮屈。あるものの中に自分を押し込めるのではなく、まだ見えないけれど想像して創り出すことが振付家の面白さです」と中村さん。

 横浜では「DanceDanceDance@YOKOHAMA2018」が9月30日まで開催中だ。「踊りは人間にとって根源的なもの。日常にダンスを加えて、自己表現を楽しんでほしい」と話していた。


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