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縄文期の大集落、墓の跡?謎の配石も 秦野・稲荷木遺跡

社会 神奈川新聞  2018年08月09日 18:52

住居跡の近くで多数確認された配石群
住居跡の近くで多数確認された配石群

 秦野市戸川の稲荷木(いなりぎ)遺跡でこのほど、縄文時代中期~後期(約3500~4千年前)の集落跡が発見された。住居跡約40軒が確認され、全体数は今後の調査でさらに増えるとみられ、市内を流れる水無川沿い一帯に大規模集落が広がっていたことが判明。かながわ考古学財団は、丹沢の山裾で広範囲で密度の高い集落が見つかったことに「驚くべき発見。当時の生活様式を解明する手がかりになる」と期待している。

 遺跡は市西端部で小田急線渋沢駅の北約2・5キロ付近に位置する。調査区は水無川左岸の段丘上で、山地と川に挟まれた面積約2万8千平方メートル。住居跡のうち29軒は床面に石を敷いた柄鏡(えかがみ)形住居跡で、他は竪穴住居とみられる。

 集落には水無川から運んだとみられる凝灰岩が目立つ。住居跡が重なる地点が多く、同財団は「約500年間にわたって人々が同じ場所に住み続けていたと考えられ、県内でも珍しい例」としている。

 同遺跡では昨年度までの調査で、1カ所に石を並べた「配石」が31基見つかっている。平らな石の周辺を丸い石で囲んだものや、墓標のような長い石を中心に据えたものなど三つの形状が確認された。付近からは骨の破片も発掘され、「多くの配石がまとまっていて県内屈指の規模」と担当者。墓である可能性もあるという。


発掘された住居の跡
発掘された住居の跡

 住居跡と配石群を仕切るように、10~20メートルにわたり石を並べた「列石」も発見された。石を縦と横に並べた石垣のような構造で、内部には男根を模した祭祀(さいし)用具の石棒の破片もあった。南に約4キロ離れた水無川沿いの曽屋吹上遺跡でも長さ約50メートルの列石が見つかっており、集落間のつながりをうかがわせる。

 集落内では土が焼けたたき火跡も約30カ所確認され、砕けた獣の骨も多数出土した。女性の姿を模した土偶のほか、3カ所に口があるなど変わった形をした異形土器などの遺物も多く出土し、収納箱で554箱分見つかっている。集落に何らかの信仰の形態があったとみられ、「祭祀的な場所」と推察される。

 漁労具も出土し、動植物を採集する環境が整っていたとされる。同財団調査研究部の天野賢一副主幹(53)は「山と川に挟まれ自然豊かな環境だった。出土品も多く、当時の生活様式を解明する手がかりになる。近くの村との関係も調べていきたい」と話している。

 稲荷木遺跡では新東名高速道路の建設工事に伴い、2016年8月から調査が続けられている。現地見学会が今月11日午前10時、午後1時半から行われる。事前申し込み不要。問い合わせは、同財団戸川地区調査事務所電話090(8047)4038。


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