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現代アートにつながる魅力
モネ、それからの100年展 横浜美術館

カルチャー 神奈川新聞  2018年07月31日 18:24

モネと現代美術家の作品が並ぶ会場。手前は小野耕石の「波絵」
モネと現代美術家の作品が並ぶ会場。手前は小野耕石の「波絵」

 印象派の巨匠クロード・モネ(1840~1926年)の革新性を引き継いだ現代美術家たちを紹介し、今も人々を引き付けるモネの魅力をひもとく「モネ それからの100年」展が横浜美術館(横浜市西区)で開催中だ。連日多くの来場者でにぎわっており、その見どころを紹介する。

 モネの初期から日本初公開となる「バラの小道の家」などの晩年までの作品25点と、近現代の美術家26人の絵画や版画、写真、映像65点を展示。

 「立ち上がる色彩と筆触」「形なきもの」といった四つの側面に分けることで、モネの魅力を改めて明確にし、現代の美術家たちがモネから引き継いだ特性に迫っている。

 モネが画業の集大成となる「睡蓮(すいれん)」の大壁画に着手してから約100年。モネはパリ郊外のジベルニーにある自邸の庭で、睡蓮が浮かぶ池をモチーフに時間や天候の異なる風景を何百枚も描いた。会場にはそうした多彩な「睡蓮」が並ぶ。

 「それまでのモチーフをしっかりと描く一般的な風景画とは違い、モネはゆらめく光や大気、色の輝きや響き合いなどを描こうとした」と同館の松永真太郎主任学芸員。

 こうした表現の模索は現代美術にも通じるとして、「『分かりにくい』と抵抗感を持たれやすい現代アートを、モネを鑑賞するのと同じ目線で見られるのではないか」という。

 例えば、床の上に広げられた小野耕石の「波絵」は版画の手法で制作された面に、色を変えて刷り重ねられた無数のドットが柱のように隆起する。その色面は見る位置によって色や光沢ががらりと変わる。

 それは、時間の変化による光や色の違いを追求したモネと変わらない。鑑賞者は双方を自然に比較し、その表現を堪能できる。

 実際、会員制交流サイト(SNS)などでの来場者の反応を見ると「自然にモネと現代アートを一緒に鑑賞している様子がうかがえる」と松永学芸員は喜ぶ。


福田美蘭の新作「睡蓮の池 朝」(右)と「睡蓮の池」
福田美蘭の新作「睡蓮の池 朝」(右)と「睡蓮の池」

 横浜での展示のために福田美蘭が制作した「睡蓮の池 朝」は、6月に完成したばかり。巡回した名古屋で展示された新作「睡蓮の池」からの連作となる。

 「睡蓮の池」は、高層ビルのレストランでガラス越しに広がる都会の夜景とガラスに映り込んだ店内の様子を描く。睡蓮が浮かぶ水面とそこに映り込む空をモネが追ったように、実像と虚像の重なりを捉える。戸外の光のモネとは異なり、人工的な光の下で表現した現代ならではの作品だ。

 一方、「睡蓮の池 朝」では、同じ場所の明け方の様子を描く。松永学芸員は「睡蓮という直接的なモチーフを用いずに、モネが睡蓮の連作で描こうとしたものを表現している。また、人工の光から自然の光へと回帰し、ひねりが効いている」と話した。

 他にウォーホルやリキテンスタインといった20世紀を代表する作品も並び、現代アートの入門編としても楽しめる。

横浜美術館


 9月24日まで。8月16日を除く木曜休館。一般1600円、高校・大学生1200円、中学生600円。問い合わせは同館電話045(221)0300。


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